コラム

2024.04.19

暗黙知とは?種類や課題におけるAI活用の可能性

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多くの業界で人材不足が深刻な課題となっています。退職してしまう熟練者のスキルである暗黙知をどのように継承していけるか。新しいスタッフにはいかに素早く効率的に知識や技術を体得してもらうか。これらを解決する方法として、AI活用の可能性が期待されています。本コラムでは暗黙知の基本についてのインフォメーションから、今後の展望についてまで解説します。

暗黙知とは

暗黙知とは、個人の感覚や経験に基づいた知識やスキルのこと。勘、センス、コツなどを指し、周囲に言葉や図解で簡単に表現できない知識のことです。

仕事の場においては、顧客の趣向を的確に掴んでいる営業マンや、社内の調整に長けた人事など、さまざまな職種において暗黙知が活用されています。対して形式知とは、文章や図解、数値などによって、誰でも理解できるような形式で表現された客観的な知識のこと。

仕事の場においては、業務マニュアルや経費精算のフロー、各種作業手順書などが形式知に当てはまります。直感的に「こちらが正しい」と感じるのは暗黙知によるものです。暗黙知が重要とされる理由は、持ち主の行動に影響を与え、意思決定の際に機能することが頻繁にあるためです。これを形式知に変換して、誰もが扱える情報に変換することで、業務の生産性が大きく変化します。

暗黙知の種類と特徴

暗黙知は2つに分類することができます。

技術的暗黙知

クルマの運転技術、スポーツ、職人技のような特定の技術や手順など、実践的な経験を通してのみ獲得できる知識。

認知的暗黙知

繊細な音や香りの識別、アイデア発想やデザインセンスなど、経験を通じて感覚的に身に付いていく思考や知識。

暗黙知の獲得方法

ではどのようにすれば暗黙知を獲得できるのでしょうか。
それぞれ時間がかかり、かつ繰り返し学ぶ必要もありますが、以下4つの方法を挙げてみました。

観察を行いながら模倣する

技術を持っている社員を観察し、真似してみること。いわゆる「背中を見て育つ」やり方です。モノづくりや生産の現場では、機器の操作など職人の勘所のようなものを知ること。営業職であれば、商談やクレームの処理など交渉に関わるスキルなど、自分なりに模倣していくことが暗黙知の獲得につながります。

経験を積むことができる場に参加する

暗黙知の継承を、社員が自発的に行うための研修などの機会を積極的に設けることも効果的です。暗黙知は社外から学ぶというよりも、社内だからこそ継承しやすいもの。求められているテーマを柔軟にピンポイントに立てたワークショップなども有効です。先輩社員とのコミュニケーションも図れるはずです。

得た知識や技能を自分でも実際に試してみる

例えば教習所を卒業して運転免許をもらっても、道幅を見てどれくらいスピードを落とせばスムーズに通れるのかを判断したり、前のクルマのドライバーは運転に慣れていないと感じたら距離をおいて走ったりということは、実際に何度も道路を走ることで感覚的に身についていくものです。

書籍など自分で得た知識と照らし合わせて意識する

マニュアルや資料、書籍など、関連するものを読めば知識を持つことはできます。それをベースにして、現場を見るようにしましょう。書籍に書いてあった通りであることもあれば、書籍の一般論は実は自社には通用せず、オリジナルなやり方に変換されている場合もあるかもしれません。

暗黙知の課題

一方で、暗黙知を継承するには課題もあります。
いま一度これらを踏まえた上で、暗黙知を効率的に形式知化することを進めていきましょう。

伝達の難しさ、外部化の困難

まずそもそもマニュアル化して伝達するのが難しいことが挙げられます。暗黙知は、個人の経験で培ってきたものなので、勘やコツ、感覚による作業を正確に伝達するのは至難の技です。外部にアウトソーシングできる部分も限られており、コツコツ地道に手探りで進めなければという状況があります。

言語的、文化的な障壁

異なる言語、独特の専門用語などを、どれだけ一般化できるかという点も課題です。また、業界によっては技術の伝承は「見て盗むもの」という文化が残っているところもあり、すべての先輩社員や技術者が、必ずしも暗黙知の継承に協力的とは言えず、障壁になっているケースも見受けられます。

価値の認識

暗黙知の重要性を全社員が理解できているかも課題です。継承をサポートするマニュアルを作成したり、システムを導入したとしても、誰もそれを活用しなければ意味がありません。暗黙知の共有には、属人化の防止、業務効率化、社員のスキルの底上げ、スムーズな育成・指導など、多大な価値があることを認識します。

管理の困難

暗黙知の管理が難しい理由は、「社員にとって必要なナレッジが集まっていない」「ナレッジが複数の場所に散在してしまい、ほしい情報をなかなか見つけられない」「ナレッジを管理しているツールの機能がいまいち」「ナレッジが適宜更新されていないため、古くて役に立たない」といったことが考えられます。

習得に時間を要する

ベテラン社員が何年、何十年もかけて体得したものを継承するわけですから、当然時間はかかります。そのため暗黙知を継承をする際には、ベテランと若手で密にコミュニケーションを取ることが必須。ベテラン社員には、若手目線に立って丁寧に指導することが求められます。

暗黙知を形式知化する方法

暗黙知を形式知に転換するときに、知られているのが「SECIモデル」という手法です。SECIモデルは、Socialization(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内面化)という4つのプロセスで構成されています。2つめに該当するExternalization (表出化)が、暗黙知を形式知に変換するステップのこと。社員が経験によって学んだノウハウを言葉や図解で表現し、マニュアルに落とし込む作業です。このすべてのプロセスが上手く機能すれば、ベテラン社員の暗黙知をほかの社員も理解できる状態が整うと言われています。

暗黙知の課題におけるAI活用の可能性

熟練者の暗黙知をAIが学習し、そのスキルや行動を模倣する「行動模倣学習」という技術が注目されています。行動模倣学習は、AI自らがトライ&エラーを繰り返して学習する強化学習とは異なり、過去のデータをインプットして学習していきます。そのため大量の成功事例を収集しなくてはならなかったのですが、最近では成功事例のみならず、失敗事例からも学習できる仕組みが開発されています。これによりAIの精度が上がり、暗黙知の可視化や、属人化したスキルの共有に効果が発揮できるようになりました。

まとめ

社員が蓄えてきた知識やノウハウは、かけがえのない資産です。しかし熟練者が退職してしまう前に、社内に継承されなければ、その資産は消えてしまいます。暗黙知を人力で獲得するには長い年月がかかり、かつ人が入れ替わるたびに同じサイクルを繰り返さなければなりません。ナレッジマネジメントの仕組みを導入し、うまくSECIモデルのサイクルを回せれば、蓄積した暗黙知を有効に活用できるようになります。暗黙知の重要性を理解するとともに、ナレッジマネジメントツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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