コラム

2023.08.09

Know Who(ノウフー)とは?
ノウハウとの違いや導入方法についてご紹介

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日本発の経営理論であるナレッジマネジメントは、社員の知識やKnow How(ノウハウ)を組織全体で共有し活用していくといった考え方で、人に焦点を当てたKnow Who(ノウフー)も、ナレッジマネジメントの1つに該当します。今回のコラムではKnow Whoが注目されている理由や、業務に取り入れるメリット、導入の仕方などについてご紹介します。

Know Who(ノウフー)とは?

Know Who(ノウフー)とは、個人の知識や能力、経験値や実績などの情報をデータベース化することで、「誰が何を知っているのか」「どこにどんな業務のエキスパートがいるのか」といった社内の人材を検索できる仕組みのことです。支社や部署を越えて専門的な能力を持つ人材をリサーチすることができれば、新規プロジェクトを立ち上げるといったときにも最適な人材を探し出し、プロジェクトをうまく進めることにつながるでしょう。
つまり、Know Whoの仕組みを整えることで組織内に眠る暗黙知を有効に活用することができるようになります。
Know Whoは、ナレッジマネジメントに欠かせない要素の一つです。

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Know How(ノウハウ)との違い

一方Know How(ノウハウ)は、ものごとの手順ややり方、コツなどを意味し、ごく一般的に使われている言葉です。Know Howを見える化して共有することも当然大切なのですが、可視化や言語化できないKnow Howについては、そのことに詳しいエキスパートや、経験豊富なベテラン社員を探して直接教えてもらったほうが結果的には時間が短縮できたり、正確に伝わるというケースもあります。また、リアルに相談できる人材が多くいるほど、質の高い仕事をしやすい環境であると考えられます。
つまり、Know Howを持っている人を探す仕組みがKnow Whoになります。

Know Who(ノウフー):専門的な知識やスキルを持つ「人」

Know How(ノウハウ):専門的な知識やスキル

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Know Why(ノウホワイ)とは?

Know Why(ノウホワイ)とは、なぜそれを行うのか、取り組む業務や作業の原理原則を知ることです。Know Whyでまずはなぜそれをやるのか原理を理解してから、具体的にどのようにそれを行うのか(Know How)、誰に聞いたら良いか(Know Who)など次のプロセスに進むことが重要です。

Know Whoが注目されている理由

まず、人間一人が得られる知識の量には限界があるためです。あらゆる分野の知識にハイレベルで精通することはとても難しく、負担も大きいでしょう。しかし社内にはさまざまな強みを持ったエキスパートがいます。人材を検索する仕組みを活用して、「これに関しては、この人に相談すれば大丈夫」ということがわかれば、個人ですべてを網羅しなくても、組織全体の知識やスキルを武器にして問題を解決したり、業務の効率を上げていくことが可能になります。また、せっかくKnow Howをまとめたマニュアルやテキストを作成して共有しても活用されない、浸透しないという課題があることも、Know Whoが注目されている理由です。

Know Whoの仕組みを業務に取り入れるメリット

業務にKnow Whoを取り入れるメリットは具体的にはどのようなことがあるのでしょうか。ここでは主な3つを紹介します。

①問題解決のスピードと質の向上

1つめは、問題解決のスピードと質の向上です。該当する内容に対してのエキスパートが特定できれば、予想外のミスやトラブルが起きたときも迅速かつ的確に対応できるので、組織全体としての問題解決力が向上します。マニュアルも重宝はするのですが、イレギュラーな対応については、書面やデータで読み解くのは難しいこともあります。Know Whoの仕組みがあれば、細かいニュアンスや、マニュアルにはないようなコツも直接尋ねられるので、無駄に悩む時間も減るといったことがあります。

②社内のコミュニケーションがスムーズになる

2つめは、社内のコミュニケーションがスムーズになることです。ビジネスにおける活きた情報は現場にいることで蓄積されます。Know Whoに着目すると、それぞれが持っている知識やノウハウが明確になるので、「○○さん、この件について教えてください」と聞きやすくなります。聞かれた社員にとっても、自分の持っている知識やノウハウが組織の中で役に立つのはうれしいものです。知りたい人と、教えられる人。両者が気軽に会話できる環境は、社内全体のコミュニケーション活性化にもつながります。

③スペシャリストを増やすことができる

3つめは、スペシャリストを増やせることです。Know Whoによって、社内に在籍しているさまざまな専門家の知識を共有できる環境があれば、一人ひとりが幅広い業務をカバーする必要性が減り、自分の本来の役割に専念できます。スペシャリストが社内にたくさん育つことで、業務効率やアウトプットの質も上がり、組織としての力も強くなるでしょう。専門外のことは誰かに頼ればいい。そのような環境下で全社員が自分の道を突き進むことで、余計な業務負担やストレスの減少にもつながります。モチベーションのアップにもなるでしょう。時間的にも心理的にも余裕が生まれると、新人教育にも力入れやすく、採用面にも良い影響が期待できます。

Know Whoに頼りすぎてしまうのも注意が必要

Know Whoに頼りすぎてしまうのも注意が必要

Know Whoを取り入れるメリットをご紹介しましたが、一方でKnow Whoに頼りすぎてしまうのも注意が必要です。Know Whoに頼りすぎてしまうことによる弊害を2つご紹介します。

⓵自力で考えることが少なくなる

Know Whoに頼りすぎてしまうと、自分で考える機会が減り、思考力が鈍ってしまう可能性があります。また、誰かに聞けばいいやと依存してしまうことで自身の成長の機会が失われることにもつながってしまいます。

➁退職によるリスクが大きい

Know Whoに頼りすぎている場合、頼られている人が退職してしまうと、ある業務のノウハウが失われてしまうことへとつながってしまいます。Know Whoの仕組み化も大事ですが、マニュアルや文書など記録に残していくことも重要となります。

Know Whoはどうやって導入する?代表的なツールの紹介

Know Whoをどうやって導入するかはいくつか手段があります。
代表的な導入手段を4つ紹介します。

1.人材管理システム

1つめは、「人材管理システム」を採用することです。最近はタレントマネジメントシステムということもありますが、全社員の専門分野、能力や知識、実績などを個人プロフィールに登録して、データベースで一元管理します。社内のイントラネットでも同様の機能を持つものもあります。網羅性がありますが、プロフィールを誰がどうつくるかが重要になります。

2.グループウェア

また「グループウェア」を活用するという選択肢もあります。あるスキルを持った人材が必要になった際に知りたい情報を書き込むと、社内からオンタイムで情報が集まるのがグループウェアの特徴です。グループウェアは常にライヴな情報が得られるだけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながります。グループウェアは様々な機能があるので、人によって活用の仕方が異なる場合や大量の情報が飛び交うので、運用が重要になります。

3.社内SNS

「社内SNS」もグループウェアに似ています。SNSは個人単位で気軽にやり取りができるため、心理的なハードルも低く、部署や役割を超えて交流を図りやすいのがメリットです。タグ付けすれば発信された情報もデータベースとして蓄積されるので、タグをたどることでKnow Who検索が可能になります。社内SNSではカジュアルな内容も含めて様々な発信がなされるため、情報をどのように選別、活用するかが重要になります。

4.ナレッジマネジメントツール

ナレッジマネジメントツールを導入することもひとつの手法です。ナレッジマネジメントツールは資料、ファイルを活用するツールのことで、ファイルを検索する機能を中心として、ナレッジを活用するものです。資料やファイルといった明確なアウトプットがあるので、そこに担当者を紐づけて可視化することができる機能があれば、誰がそのナレッジをもっているのか、つまりKnow Whoを把握することができます。

Know Whoの導入事例

タレントマネジメントシステムを導入し、Know Who検索を活用しているエンジニアリング会社の例を紹介します。

■導入目的

導入目的は社内にいる約2,400名の技術者のスキル管理でした。自社で始めてはみたものの、全員分のスキルディクショナリーを整備するだけでも膨大な時間がかかり、人事異動を反映するのも追いつかず、情報の閲覧制御もできないとなどExcel管理に限界を感じていたため、専用システムの導入を決めました。

■導入効果

初年度は技術者のスキル情報をデータ化し、経営層が把握できる運用に。2年目はキャリア情報を追加し、ログインユーザー範囲を一般社員にも拡大しました。3年目はKnow Who検索を活用して、技術伝承のインフラとして定着させることはもちろん、技術者のキャリア開発に向けた異動の機会を創出し、キャリアデザインを支援することまでに応用を考えているそうです。

まとめ

どんなに便利なオンラインストレージやチャットツールも、どんなに整然とまとまったマニュアルや資料も、人的資本に敵わないということは珍しくありません。個々の社員が持っている知識やスキル、経験値は、企業活動の生命線です。つまり、「Know Who=誰に聞けばわかるか」が整っている環境は、企業の成長に直結します。知的資本こそ事業の源泉です。それを改めて認識した上で、ぜひナレッジマネジメントツールを活用しながら、Know HowのみならずKnow Whoも検索するということを考えてみてください。

sagurootは情報の管理に加え、情報に紐づく人材の価値に着目したナレッジマネジメントツール。AIを活用した横断的な資料の検索を通じて、情報と人材を可視化することで、社内のコミュニケーションを誘発し、企業のイノベーションを支援します。

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