ナレッジ共有とは?
成功させるために重要な考えとは
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ナレッジとは、社員が仕事を行う中で体得した知識やノウハウのことであり、ナレッジ共有は言葉通り、そのような知識を組織全体で共有することです。個人の経験値は言語化されないことも多いですが、それを言語化・可視化して、他社員でも理解できるようにすることで、ナレッジ共有が可能になります。ではなぜ個人の知的財産をシェアすることが大切なのでしょうか。ナレッジ共有を進めるための手法はどのようなものがあるのでしょうか。本コラムで解説します。
ナレッジ共有とは

ナレッジ共有とは、個人が蓄えてきた知識やノウハウを、チーム内や組織全体で共有することです。ナレッジ共有が上手く行くと、社員のスキルが全体的に底上げされたり、組織としての生産性を高めたりできるようになります。なおナレッジとは単純に用語を解説する辞書のようなものではなく、専門分野における経験や有益なテクニック、問題解決のための実践的な知見も含む概念です。
ナレッジ共有が重要とされている理由

ナレッジ共有が重要だとされている理由を5つご紹介します。
生産性を向上させるため
限られた労働人口、労働時間で生産性を上げるためには、業務の効率化が必須です。優秀な社員やベテラン社員が保有しているナレッジ共有ができていると、従来と同じ業務にかかる時間や労力が削減でき、別の集中すべき業務にリソースを割けるようになるので、生産性の向上が見込めます。個人のパフォーマンスもアップするので、会社全体でもいい影響が出るでしょう。
リスクを軽減するため
ナレッジ共有は、成功事例から共通点を見出すとともに、これまで気づかなかった要因や改善点を発見して失敗を減らすという視点でも有用です。小さなものから深刻なものまで、過去に過ちが起きてしまったことは、どこの会社でもあるはずです。そのときの状況、原因、改善策などをきちんと共有すれば、同様の失敗は起こりにくくなります。失敗してしまった場合に、原因を振り返る習慣が付くのもビジネスにおいては非常に大切なことです。
他部署との連携強化のため
他部署とのスムーズな連携を構築することもナレッジ共有を行う理由です。ナレッジ共有ツールを使えば、部署や業務内容、職種の括りに関係なく情報へアクセスできるようになるので、社内全体でのコミュニケーションが活性化するでしょう。他部署のノウハウが業務のヒントになることも考えられますし、いままでとは違う新鮮なアイデアが生まれるかもしれません。
業務の属人化を防ぐため
個人だけがその業務に関する知識やノウハウを持っていると、その社員が不在になった際、誰も業務を進められなくなるという事態が発生してしまうかもしれません。特に業務の専門性が高い場合、属人化が加速する傾向があります。ナレッジを共有する際には、どの業務がボトルネックになりやすいか、具体的なノウハウ、注意点などを詳しく伝えることが大切です。
人材の流動性が高くなり、業務の引き継ぎ機会が増えているため
業務の引き継ぎには、一貫した知識の継承が必要です。担当者の解釈によって伝えることがバラバラでは、品質や効率にばらつきが出てしまいますが、ナレッジ共有の仕組みが整備されていれば安心です。常にナレッジ共有がされている状態であれば、優秀な社員が退職しても知識や技術が失われることはありません。疑問や不明が出たときにもすぐに確認できるので、引き継ぎの負荷も少なくなります。
ナレッジ共有が難しいとされている理由

ナレッジ共有の取り組みを行ってはみたものの、なかなかうまくいかないケースも珍しくはありません。ナレッジ共有が難しいとされている理由を説明します。
そもそも社内にナレッジ共有の文化がない
会社からの指示を受けて、ナレッジを共有しようとはするものの、社員、部署同士が競い合っている組織の場合、自分がせっかく苦労して身に付けたナレッジを簡単に他の人に共有したくないという考えが浮かぶ可能性も考えられます。
ナレッジが暗黙知となっている
暗黙知とは個人の感覚や経験に基づいた言葉で伝えるのが難しいスキルのことを指しますが、共有しようとしているナレッジが暗黙知である場合は、ナレッジの共有が難しい場合があります。
>暗黙知と形式知とは?暗黙知を形式知に変換するメリットと手法
社員同士の知識に格差がある
ナレッジを発信する側と受け取る側とで知識に差がある場合、必ずしもすべての人に対して発信した内容が正しく伝わっていない可能性があります。
ナレッジが大量にありすぎて必要な情報が見つからない
蓄積されたナレッジが大量にある場合、社内で適切に管理されていなければ、仮に欲しい情報がどこかに存在していたとしても、すぐに見つけ出すことができません。
また、仮に見つかったとしても探すのに膨大な時間がかかってしまうこともあります。
ナレッジが古いままになっている
共有されたナレッジが更新されておらず、情報が古いままの状態で放置されている場合があります。
ツールやシステムの検索性が良くない
ナレッジを管理するツールやシステムを導入する場合でも、検索機能が良くない場合は、なかなか欲しい情報にたどり着くことができない場合があります。
管理しているファイル名だけでなく、ファイル内のテキストや画像も含めた検索ができるツールを選定すると良いでしょう。
ナレッジ共有の方法

ナレッジを共有する方法を3つ取り上げてみます。
マニュアルや手順書を作成する
マニュアルを作成できるソフトウェアがあります。マニュアル作成ツールを使うメリットは、情報共有のフォーマットを統一できることです。基本的に誰でも簡単に入力できるものなので、気軽にナレッジ共有に取り組めるでしょう。マニュアルを作成したあとの運用や管理がスマートフォンでできるものも多く、ナレッジを広く共有するための1つのやり方です。
チャットボット
AIを活用して、社員からの問い合わせ対応を自動化するチャットボットもあります。例えば各種資料をチャットボットに登録しておけば、すべての営業パーソンがいつでも最新資料を確認できるといったことや、営業マンのナレッジや事例を集約しておくことで、会社としての営業品質を担保できるといったことが挙げられます。社内でよく寄せられる問い合わせなどもチャットボットに回答してもらえれば、無駄なやりとりが削減されます。
ナレッジ共有ツールを使う
ナレッジ共有ツールにはたくさんの種類があります。成功事例の共有、専門知識の共有、知的資産の共有、顧客情報の共有など、何に関する情報をシェアしたいかによって取り入れるべきツールも変わってきます。自社のシステムや社風などを鑑みて、各ツールの特徴やメリットを把握した上で、ふさわしいものを選択してください。
ナレッジは共有するだけでは不十分。活用することが大事
ナレッジマネジメントには、データ整理→情報共有→知識理解→知恵活用という4つの段階があります。このうち前半の2つはナレッジ共有、後半の2つはナレッジ活用を意味します。もちろんナレッジ共有の制度を整えることで、組織内のコミュニケーションはスムーズになり業務の効率化を図ることができます。しかし、これだけでは定型化された業務以上の対応は難しく、より高度な知識を必要とする知的業務においては、ナレッジを活用することが求められてくるのです。
まとめ
自分が経験を積むことで得てきた知識やノウハウを、なぜ周囲に共有しなければいけないのか。個人の業績が大きく評価されるような企業では、ナレッジを積極的に共有したくないという社員がいることすらもあります。しかしAIが世界中のビジネスシーンを日々塗り替えており、変化のスピードが加速している現在では、そのような考え方では立ち行かなくなるでしょう。一人ひとりが能力を最大限に発揮し、組織が一丸となって前進していく。会社の価値を最大化するためにもナレッジ共有は必須の時代だと言えます。
sagurootは、ファイル形式を問わず横断的な一括検索が可能で、ファイル名だけではなく、ファイル内のテキストや画像まで含めて検索できるナレッジマネジメントツール。さらに、任意のジャンル分けと組み合わせることで価値あるファイルを見つけ出すことが可能で、効率的なナレッジ共有をサポートします。