コラム

2023.05.16

ナレッジベースとは
活用シーンやよくある失敗をご紹介

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  • 人材活用

近年、企業でナレッジベースの構築と運用が進んでいます。社内に眠っている重要な資産であるナレッジを集めたデータベースは、業務効率化や人材育成、経営戦略に役立ちます。
そこで今回は、ナレッジベースの活用シーンやよくある失敗、効果的に活用するヒントをご紹介します。

ナレッジベースとは

ナレッジベースとは、企業において、社員が業務を通じて獲得したナレッジをまとめて蓄積し、データベース化したものを指します。
データベース化されていることから、社内全体で情報共有が容易となり、さまざまな用途で活用していくことができます。

ナレッジとは、主に社員一人一人が業務の中で培ってきた経験に基づく知識や情報、ノウハウ、感覚などの、言葉や絵に表せるすべてを指します。
ナレッジベースは、企業にとって重要な資産であり、また情報共有・活用が容易になることで、企業が何らかの事業を戦略的に実施する際や人材育成などに役立てられます。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、組織内のメンバーそれぞれが持つ経験や知識を収集、整理、共有し、新たな活動や業務の生産性向上のために活用するプロセスや活動のことを指します。

つまりナレッジマネジメントは、組織内の知識の収集、整理、共有、活用といったプロセスや活動を指し、ナレッジベースは、そのために必要となるツールやシステムのことを指します。

ナレッジマネジメントは、ナレッジベースだけでなく、ナレッジを持つ人材の行動や態度、思考過程など、より広範な要素を含みます。

ナレッジマネジメントとは│「情報共有」がゴールではない?

ナレッジベースが広がり始めた背景

ナレッジベースの活用は、そもそもなぜ近年、企業に広がり始めたのでしょうか。それには次のような背景があります。

「人」の流動性が高まっている

最も大きな理由といわれているのは、「人」が留まらなくなったことです。一昔前まで、会社員は一生涯、一つの会社に留まり続ける終身雇用が一般的でしたが、近年では転職が当たり前になり、一つの会社に留まり続けることはないという考え方が広がっています。会社としては常に、人がいなくなってしまうリスクを考えなければなりません。
しかしこうしたリスクがありながらも、組織内では知識が体系化されていないことも多く、勘や経験だけに基づいた属人的な業務も少なくありません。

そうした中、業務知識やナレッジの引き継ぎがしやすい体制を作る必要性が高まっています。ナレッジベースはまさにそのような状況の助けになります。

技術の進化でデータとしての共有がしやすくなった

技術の進化によって、データを残しやすくなったことも背景として挙げられます。パソコンやスマートフォンなどで作成した文書や画像、映像はデータとして手軽に共有できるようになりました。そのデータ共有ツールも豊富にあり、検索性も高まっています。ナレッジベースを構築・活用しやすい環境といえます。

リモートワークの増加

近年、リモートワークが一般的になり、従業員がオフィスにいなくても必要な情報にアクセスできるような環境が求められるようになったことも背景の一つとしてあります。

ビジネスプロセスの効率化

働き方改革の影響もあり、多くの企業で業務の効率化が求められるようになりました。そうした中、システムやツールを利用した業務効率化の一つとしてナレッジベースの活用があります。

ナレッジベースの活用シーン

具体的に、ナレッジベースのよくある活用シーンを見ていきましょう。

人材育成

ナレッジベースは、人材育成の場で便利に活用されています。従来は熟練工による職人的ノウハウや知識は暗黙知として文書化されてこなかったケースが多くありました。一方でナレッジベースに残すことはノウハウや知識を受ける側にとって、学習しやすくなり、利便性が高まるというメリットがあります。口頭で伝えられるだけでは反復学習しにくいため、結果的に技術の習得が困難になります。またナレッジベースは文字情報だけでなく、画像や動画でも情報として残せるため、より習得しやすくなります。

問い合わせ対応

ナレッジベースは、FAQに反映させることができるため、社内外の問い合わせ対応に活用できる可能性があります。例えば、ECサイトのFAQやチャットボットのデータベースとして反映させたり、社内のヘルプデスクの代替としてFAQシステムを導入し、社員が自由に検索しやすくするといった活用方法も考えられます。

製品開発

ナレッジベースは製品開発のプロセスでも活用されています。過去のプロジェクトやテスト結果、関連する論文や社内の技術文書などを保存することで、新しい製品の開発や改善に役立てることが可能になります。

ナレッジベースツールの種類

ナレッジベースを活用することができるツールには代表的なもので以下のものが挙げられます。

●社内wiki型
自分の知識や経験を自由にwikiに書き込むことができ、他の人が書いた投稿に対しても編集したり参照したりすることができます。

●ヘルプデスク型
事前に想定されるFAQを登録することで、社員や顧客が質問したいときに必要な情報をすぐに引き出すことができます。
チャット形式で回答を返してくれるプログラムなどもあります。

●グループウェア型
メールやチャットを使い、組織内のメンバーとファイルやスケジュールを共同で管理し、コミュニケーションを円滑に行うことができます。

●データベース型
データベースとして蓄積された組織の情報や知識を簡単に検索することができます。

●データマイニング型
蓄積された大量のデータからパターンや関連性を発見し、それを新たなナレッジとして活用することができます。

ナレッジベースにおけるAI活用

AI技術の進歩により、ナレッジベースの構築においてもAIを活用することが増えてきました。ここではナレッジベースにおいてAIを活用するメリットと具体的なAIの活用方法についてご紹介いたします。

【関連コラム】
AIをビジネスで活用するには?導入のポイントを解説

ナレッジベースでAIを活用するメリット

作業の効率化
AIを活用することで、情報の検索や整理が自動化され、これまで人間が行っていた作業の効率が向上します。

精度の向上
AIは人間の誤入力や見落としなどの認識ミスを削減することができます。特に膨大なデータを扱う作業の場合は、人間の手で行う作業とは比べ物にならないレベルの精度の高さとなります。

アクセシビリティの向上
自然言語処理(NLP)を用いることで、ユーザーが自然言語で問い合わせを行えるようになります。

パーソナライズ
ユーザーの過去の行動や好みを学習し、カスタマイズされた情報を提供することができます。

スケーラビリティ
ナレッジベースに取り込むデータ量が増えてスケールが拡大しても、大量のデータ処理を得意とするAIはナレッジベースの品質を落とすことなくデータの処理が可能となります。

ナレッジベースにおける具体的なAIの活用方法

自動要約機能
AIを用いて長い文書や記事を短い要約に変換し、ユーザーが素早く情報を把握できるようにします。

ナレッジマネジメントツール「saguroot」に生成AIを組み合わせ、資料要約表示機能を開発

コンテンツの分類とタグ付け
AIが文章を解析し、関連するトピックやキーワードに基づいてコンテンツを自動的に分類し、タグ付けを行います。

レコメンド機能
ユーザーの興味や以前の検索履歴に基づいて、関連するコンテンツや記事を推薦します。

自動翻訳
AIを使ってコンテンツを自動翻訳することで多言語対応のナレッジベースを構築することができます。

利用ユーザーの分析
AIを活用してユーザーのナレッジベースの使用パターンを分析し、改善点を見つけます。

ナレッジベースのよくある失敗例

ナレッジベースを構築・活用する中、うまくいっているかのように見えて、実はうまく活用できていないケースもあります。
例えば、こんな失敗はよくあることです。

ただのデータ共有に終わってしまっている

ナレッジベースを構築した後、データ活用がうまくできておらず、データ共有だけで終わってしまっているケースです。ナレッジベースは、ナレッジをいかに有効活用するかがゴールになるため、データ活用方法を検討しなければなりません。

一方で、データ共有ソフトの発達など、データが共有しやすくなったのは事実です。データ共有ソフトを有効活用できているのなら喜ばしいことです。しかしその一方で、データに表れていない知見などが見落とされてしまうこともあります。それでは本当の意味での経験の伝達がなされていないという別の問題が発生している可能性もあります。

例えば、社内で一人しか持っていない熟練者の技術を文書化したとしても、それが正確かつ十分に伝わっているかはわかりません。実際のところ、その情報を本当に正しく知るには、熟練者本人への直接のヒアリングが必要になるのではないでしょうか。そのコミュニケーションも含めたナレッジベースを考えていく必要があります。

ナレッジ活用が業務成功の鍵!その理由とは?

情報元不明データがある・誰が残したかわからない

ナレッジベースに蓄積されている情報を閲覧しているとき、誰が残したのかわからない情報元不明データがあるというケースもよく見受けられます。
例えば断片的な情報だったとすれば、もっと深く網羅的に知りたいことも出てくることもあります。また、新しい内容や既存とは異なる見解が載っている場合は確認が必要です。その場合、情報元に当たるのが早いですが、情報元が不明であれば、突き止めるのに時間を要してしまいます。
ナレッジベースに蓄積されたデータ一つ一つに「人」の情報を紐づけることで、このような問題に配慮することも重要です。

データが膨大で扱えない

誰もが資料をデジタルで作成し、共有している現代では、毎日大量のデータが生み出されていることになります。
情報共有が重要だから、とその多くの資料をナレッジベースに投入し続けると、ナレッジベースにあるデータが膨大となり、社員はその中から有益な情報を探すことが困難になってしまいます。
データの重要性や新しさなどで整理・選別し、どのデータを共有するかを決めることも重要です。

sagurootでナレッジベース活用を成功させる

失敗例を踏まえると、ナレッジベースの活用を成功させるためには、「データ」と「人」を結ぶこと、さらに共有するデータを選ぶことが求められるのではないでしょうか。

価値のあるものはどれかを定義し、さらに誰が残したのかを明確にしたデータ共有によって、データ活用がよりうまくいくと考えられます。

基本的に、知識や知恵を持った人をいかに巻き込んで運用していけるかが、ナレッジベースの活用を成功させるカギといえそうです。

ナレッジマネジメントツール「saguroot」はデータを蓄積、共有するだけに留まらず、データと人を結びつけることで知的業務のパフォーマンスを向上させることができるツールです。

sagurootの詳細はこちら

まとめ

ナレッジベースの基礎知識と活用シーン、失敗例などをご紹介しました。ナレッジベースはただのデータ共有に留まらせることなく、データと「人」を結びつけることによる運用も検討していくことが求められるのではないでしょうか。
sagurootは、AIとデザインの力でナレッジマネジメントを実現するツールです。検索から知見・ナレッジを見出し、タレントを持つ人材同士がつながることでイノベーションを実現して企業の成長に貢献します。

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