コラム

2024.07.26

形式知とは?暗黙知との違いから形式知化の⽅法まで解説

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「形式知」とは、テキストや図解で説明ができる知識のこと。誰が見ても理解できるように示されているもので、マニュアルやガイドラインなどが挙げられます。形式知の反対は「暗黙知」。暗黙知は個人の経験やカンがもとになっているため、言語化するのが難しいものを指します。企業活動を円滑にするためには、暗黙知を形式知へ変換することが欠かせないため、本コラムでは形式知をテーマに詳しく解説します。

形式知とは?

形式知とは、文章や図解、数値などによって、誰でも理解できるような形式で表現された客観的な知識を指します。形式知という概念は、日本の経営学者である野中郁次郎が提唱した『知識創造理論』を発端に世の中に広まっていきました。ビジネスシーンでは、業務マニュアルや経費精算のフロー、各種作業手順書などが形式知に当てはまります。

また、形式知と反対の意味を持つのが暗黙知です。暗黙知とは、個人の感覚や経験に基づいた知識やスキルのことで、勘、センス、コツなど言葉で伝えるのが難しいものを指します。初めて暗黙知を提唱したとされるのは、『暗黙知の次元』の著書であるハンガリーの学者マイケル・ポランニー。仕事の場においては、顧客の趣向を的確に掴んでいる営業マンや、社内の調整に長けた人事などが暗黙知に該当します。

日常および職場における形式知の具体例を見てみましょう。

料理のレシピ

必要な材料と具体的な手順が示されており、再現できるようになっています。

取扱い説明書

製品の操作方法について、読めば誰でも作動できるように構成されています。

研修資料

新しいスキルを習得するための、情報や手順が提供されています。

契約書や法的文書

特定の法的条件や義務を明確に示しているもので、これらも形式知に含まれます。

暗黙知を形式知化する重要性

暗黙知を形式知化することで、資料による情報共有ができるようになるため、たくさんのメリットが生まれます。今回は以下4つに着目してみました。

知識やスキルを全員に共有できる

社内のデータベースやナレッジマネジメントツールに形式知が集約されていれば、そこを参照するだけで誰でもほしい情報が得られます。暗黙知を持つ優秀な社員が休職したり、退職したりという場合にも、有益なナレッジが社内に残り、全員に知識やスキルが行き渡ります。

伝達の正確性が高まる

文章、図解、数値などでわかりやすい形式知に変換されていることで、誰もが正確な情報、安定した情報を得ることができます。それにより業務にばらつきが出にくく、提供する製品やサービスの品質のレベルを均一化することにもつながります。

知識の継承や教育がスムーズになる

業務内容でわからないことを先輩社員に逐一尋ねるというプロセスが減り、「教えてもらう時間」と「教える時間」ともに、教育にかかっていた人的コストが削減されます。
何度も反復して知識を学ぶことも可能になります。

⾼度な知的業務が効率的にできる

ナレッジの形式知化が進めば、短い時間で求めていた解決策にたどりつくことができるため、業務効率を大きく改善できる可能性があります。そこで生み出された時間を顧客の課題解決に向き合うためのより本質的な業務に使うことができれば、利益のアップにもつながるでしょう。

暗黙知を形式知化する「ナレッジマネジメント」について

暗黙知を形式知化する、いわゆるナレッジマネジメントについても理解を深めておく必要があります。
以下に、定義、目的、特徴を整理しました。

ナレッジマネジメントの定義

ナレッジマネジメントとは、個人が持っている知見や知識、技術、ノウハウなどのナレッジを組織全体で共有することによって、新しい知識を生み出す経営手法のこと。日本人研究者の野中郁次郎と竹内弘高が英語で出版した書籍が世界でベストセラーとなり、日本に逆輸入されました。

ナレッジマネジメントの⽬的

ナレッジマネジメントの目的は、ベテラン社員のナレッジを新しい社員に継承したり、所有していたナレッジを進化させたりすることで、業務を効率化し、組織の生産性を上げていくこと。新規事業の開発など、企業の成長を促すことです。

ナレッジマネジメントの特徴

ナレッジマネジメントの最大の特徴は、継続的にナレッジを継承できること。専門性の高い業務を担当していた社員が異動、休職、退職した際にも別の社員が仕事を引き継げることです。同時に人材育成の効率化も期待できるのもナレッジマネジメントの特徴です。

暗黙知を形式知化する⽅法

そもそも言語化するのが難しい暗黙知を、形式知に変換するにはどうすればいいのでしょうか。
4つのポイントをお伝えします。

SECI(セキ)モデル

SECIモデルとは、共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、結合化(Combination)、内面化(Internalization)というプロセスを繰り返すことで、組織内で知識が普及し、創造され、実践につながるという考え方のこと。野中郁次郎が提唱した理論で、4つの頭文字をとって「SECIモデル」と名付けられました。

形式知化する「場」を⽤意する

SECIモデルの4つのプロセスに合わせた「場」を提供することも、ナレッジマネジメントを成功させる要素になります。具体的には、食堂や休憩室、喫煙所などのリアルな場所から、社内ポータルサイトや社内SNSなどのITを利用したツールなどが、その「場」として機能します。

ナレッジマネジメントツールを活⽤する

多くの企業に選ばれている方法のひとつが、ナレッジ共有できるツールを導入することです。データベースを保存しいつでも検索できるもの、マニュアルを作成し共有できるもの、ヘルプデスクをつくり質問の答えを得るものなど、さまざまな機能がありますので、自社の課題や目的に合わせて選んでください。

AIを活⽤する

膨大なデータを学習できるAIを活用すれば、より効果的に暗黙知を形式知化できます。ナレッジの洗い出しの段階から手間を減らし、整理・分類・分析を自動化。構築したあとも改善点を探し出し、24時間365日アップデートしてくれるのもAIのメリットです。

暗黙知を形式知化する際の注意点

暗黙知を形式知化する⽅法がわかったところで、その際に留意するべき点を考えてみました。

暗黙知を形式知化する重要性の啓蒙

必ずしもすべての社員や技術者が、暗黙知の継承に協力的とは言えず、むしろ「背中を見て覚えろ」というような考え方が障壁となっているケースもあります。暗黙知を形式化する理由として、属人化の防止、業務効率化、社員のスキルの底上げ、スムーズな育成・指導など、多大な価値があることをしっかりと伝えましょう。

形式知化する媒体の選択

マニュアル、手順書、請求書など、紙文書によるナレッジの管理がいまだに続いている企業もあります。紙文書は内容を更新するにも手間がかかり、しかも現場でしか閲覧できません。形式知はデジタルで整理しましょう。近年は、ナレッジマネジメントツールが多く登場していますので、目的や機能に合わせて選択します。

ナレッジマネジメントツールの導⼊

暗黙知を形式知に変換していくのは、時間も労力も根気も必要で、人力だけでは厳しいというのが正直なところです。効率的に作業を進めるためには、ナレッジマネジメントツールを導入することをお勧めします。まずは資料請求やお試し版を利用するなどして、各種ツールの比較検討をしてみてください。

まとめ

ナレッジマネジメントの第一歩は、暗黙知を形式知化することから始まります。社員が持っている暗黙知が形式知に変わっていけば、業務の属人化の防止になり、企業全体の生産性を高めることができます。暗黙知を形式知にすることのメリットは多々あれど、損することは何もないと思います。自社にある知識をフル活用するために、ぜひナレッジマネジメントツールを導入して、形式知を正しく安全に扱える環境を整備してみてください。

sagurootは、さまざまなファイルの一括検索と、部門ごとでの絞り込みの両方の機能を備えたナレッジマネジメントツール。従来型と組織・部門横断型の情報共有を同時に実現し、形式知をスピーディかつ効率よく社員にシェアしていくための基盤として活躍します。

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