コラム

2023.08.09

AIをビジネスで活用するには?
導入のポイントを解説

  • イノベーション

AI (人工知能)の技術は日々進化し、あらゆるシーンでAIの普及が急速に進んでいます。もちろんビジネスの現場でも必要不可欠なものになっています。今回のコラムでは、ビジネスにおいてAIを活用するメリット、実際に使われている事例の一部をご紹介します。一方でAIが抱える課題もあります。AIの導入を検討している方は参考にしてみてください。

AI(人工知能)とは

人間は日々多くの情報を脳内で処理し、推測や判断を行っています。AI(Artificial Intelligence/人工知能)とは、人間が持つこのような知的能力を、テクノロジーを用いて人工的に作り出したものです。人工知能は、特化型人工知能(ANI)、汎用人工知能(AGI)、人工超知能(ASI)の大きく3つに分けられます。

特化型人工知能(ANI)

ANI(Artificial Narrow Intelligence)とは、個別の分野・領域に特化したAIのことです。ANIはあらかじめプログラムされた情報の中から、状況に応じて情報を選択してアウトプットします。現在、実用化されているAIは、この特化型人工知能(ANI)です。

汎用型人工知能(AGI)

AGI(Artificial General Intelligence)とは、AIが自分で考えながら、さまざまな役割や課題を処理できるシステムです。これが実現すれば人間と同じように学習しながら成長していくことができます。現在のAIは限られた範囲では、自分で答えを出すことができるようになっています。

人工超知能(ASI)

ASI(Artificial Super Intelligence)とは、人間を超える知能を持ち、人間にはできない高度なことも自動で処理することができるAIです。ASIは自分で目的を設定し、意思決定を行うので、人間の指示を必要としません。ASIが社会を操る時代が来るのではとも言われています。

AI(人工知能)をビジネスで活用するメリット

AIを導入することで企業はどのようなメリットが得られるのでしょうか。
次の5つについて解説します。

生産性の向上

AIが持つデータの処理能力や、高精度な分析能力を最大限に活かせば生産性の向上が可能です。人材を増やさなくても、事業の拡大や労働環境の改善を進めることができます。大量のデータ、ファイルを一定のルールに基づいて処理することなどは非常に有効です。

意思決定の判断材料になる

AIは大量のデータを迅速かつ正確に処理することができます。データや分析結果に基づいた予測を立てることもできるため、経営者や専門家が重要な意思決定を行う際などに重宝します。

顧客サービスの向上

質問にきめ細かく対応するチャットボットなどは、顧客のニーズに適した製品やサービスを提供することをサポートします。ホスピタリティを総合的に向上させれば顧客満足度は上がり、売上アップにもつながります。

品質の向上

AIは単純作業や、統計資料の作成、データ分析などにおいてミスが少ないので、事故の件数を減らすことができアウトプットの品質が安定します。ミスが減ることは企業にとっての信頼性にもなります。

知的業務のパフォーマンス向上

データの入力・集計などの単純作業や定型業務はAIに任せて自動化すれば、社員は本質的な業務に集中することができます。モチベーションアップも見込まれ、事業も加速しやすくなるでしょう。

AI(人工知能)のビジネスにおける活用事例

AIの主な活用事例について、次の6つをご紹介します。

画像認識

画像認識とは、AIを使って画像内に写っている人物や文字などを特定し、判断する技術のことです。AIに膨大な数の画像データを読み込ませて学習を重ねることで、画像内のさまざまな情報を識別できるようになります。例えば無人化された店舗では、入口のカメラで顔認証を受けてから入店。商品を無人レジのカメラにかざして決済します。この一連の流れにAI画像認識技術が使われています。

音声認識

音声認識とは、AIが人の話す言葉を音声として認識し、文脈の通ったテキストに変換する技術のことです。最近ではスマホアプリからの利用もできるので、どんな場所でもリアルタイムで簡単にテキスト化ができるようになっています。コンピューターが人と会話をすることもでき、iPhoneに搭載された「Siri」や、Amazonで開発された「アレクサ」なども、音声認識技術を活用したサービスです。

自然言語処理

自然言語処理とは、大量のテキストデータをAIが分析する技術のこと。人間が普段使っている言葉を対象として、それらの言葉が持つ意味を解析し処理します。身近な活用事例としては、問いかけに合わせた返事をしてくれるチャットボットがあります。正確な回答が求められる社内ヘルプデスク業務をチャットボットFAQで自動化することで、業務の効率化を図っている企業が増えています。また、膨大な言葉が含まれる文章を検索する、といったことも可能です。

医療診断

AIによって医療の質の向上を目指す取り組みは急速に進んでいます。もっとも活用されているのは画像診断支援の領域です。画像診断支援には、

①医師が診る前にAIが診るもの
②医師が診た後にAIが診るもの
③リアルタイムに医師とAIが一緒に診るというもの

という3つのやり方があります。現在人から得られるデータはすべてAIの対象として研究開発されており、医療の幅広い領域でAIが使われています。

金融取引

圧倒的なスピードと正確性があり、24時間稼働できるため事務作業や窓口業務を効率化できます。また融資に関してもAIで信用度をスコアリングして、可否の判断に必要な膨大な情報を整理することで、煩雑な手間や時間を大幅に改善できます。サイバー攻撃から銀行の重要な情報を守ったり、不正を防止するといったセキュリティの面でも、AIは必要不可欠な存在になっています。

文章/画像の生成

文章を生成するAIは、ニュース記事、商品説明文や広告の制作などに活用できます。必要な情報を入力するだけで簡単に文章が生成される上、スペルミスや文法の誤りも少なく高品質であることもメリットです。画像生成AIは、Webサイト制作の分野で効果的に利用されています。オリジナルの写真やイラストを作成したり、レイアウトをするほか、ロゴ制作などに使われることもあります。インフォグラフィックを生成して各種資料に使うケースも増えています。

AI(人工知能)の営業活動における活用事例

AIの営業活動における活用事例をご紹介します。

チャットボット

AIチャットボットでは、カスタマーサービスとして顧客からの質問に24時間応答することができ、顧客対応の工数削減に役立てられています。
また、営業担当者自身が知りたいことをチャットボットに投げかけることで、外出先においてもすぐに欲しい情報を手に入れることもできます。

売上予測

AIが過去の営業データとトレンドなどを分析することで、未来の営業結果を予測することができ、これにより営業戦略が立てやすくなります。

商談の音声分析

商談での音声データをAIで分析し、データ化することでこれまで属人的となっていた営業活動を可視化することができます。

ナレッジマネジメントツール

過去に作成した提案書をAIツールで管理しておくことで、顧客情報や商談状況にあった過去の提案書をすぐに見つけ出すことができ、提案書作成の時間が削減されます。

<目的別>最適なナレッジマネジメントツールの選び方をご紹介

AI OCR

AI OCRでは、画像データから文字情報を自動で読み取り、データ化することができるので、名刺や顧客情報などを手で入力する手間が削減され、業務の効率化とデータの品質の向上が期待できます。

AI議事録

AI議事録を活用することで、AIが音声をそのままテキスト化してくれるので、議事録作成の手間が軽減されます。多言語に対応できるツールもあり、様々なシチュエーションにおいても詳細な記録を残すことができます。

AI(人工知能)の採用活動における活用事例

AIの採用活動における活用事例をご紹介します。

チャットボット

AIチャットボットでは、求職者の質問に対し24時間応答することができ、企業情報の提供や面接のスケジュール設定なども行うことができます。
企業側は採用プロセスを効率的に進めることができるので、時間短縮にもなり、求職者側は対面では聞きにくい細かな情報なども収集することができるので、エンゲージメントの向上につながります。

採用予測

AIが過去の採用データを分析し、特定の役職やスキルセットに対する需要の予測を行うことができます。これにより、企業は採用戦略を事前に計画し、より効率的に採用活動を行うことができます。

レジュメスクリーニング

AIが大量の履歴書をスキャンすることで、求職者のスキル、経験、資格を評価し、企業が求めている条件とどの程度一致するかを判断することができます。これにより、一つ一つ履歴書に目を通して整理する必要がなくなるので、効率的に候補者を見つけ出すことができます。

顔分析ツール

AIによる顔認証技術で、求職者の表情、声の調子、ジェスチャーなどを読み取り、それらを基に評価することができます。蓄積されたデータにより、候補者のパーソナリティや適性などを理解することに役立てます。

候補者のデータベース管理

候補者のプロフィールが登録されたデータベースにAI技術を活用することで、応募したポジションで不採用になった場合でも別ポジションで条件が合う場合は、すぐに候補者に連絡が取れる体制をとることができます。

AI(人工知能)活用の課題

多くのメリットがあるAIですが、一方で課題もあります。
AIを導入する際には懸念される点も認識した上で、対策を考えていきましょう。

AIを扱える人材の確保

AIを扱える人材とは、人工知能や機械学習によるデータ解析に関する知識と技術を持つ人材です。AI人材が不足している理由のひとつは、データを集めやすくなったことが挙げられます。入手するデータの種類や量が爆発的に増えている一方で、実際にビジネスの現場でそれらを扱える人材の教育が追いついていません。またエンジニアリングの業務だけではなく、AIの導入を推進したり、現場で運用を担当したりする人材も慢性的に不足しています。

プライバシーやセキュリティの問題

どこまで個人情報を集めてよいかという問題には明確な解答が出ていません。ユーザーの検索履歴、閲覧履歴、購買履歴などを踏まえて、企業がどの程度までプライバシーに関わってよいのか。集めた個人情報をどう管理すれば安全なのかは、考えるべき課題です。また、ネットワークを利用して顧客情報などの機密情報を取り扱っていきますが、厳しく管理がされていないと大量のデータが一気に流出してしまうというリスクもあります。

データの品質と信頼性

人間にとっては問題にならないような小さなノイズも、AIにとっては大きな影響を及ぼすことがあり、誤った結果を導いてしまうことがあります。さらにAIがミスを犯したときに、AIがなぜそのような判断を下したのかという基準については言語化できない傾向が強く、責任の所在が曖昧になってしまうことも指摘されています。AIの不具合による過失を扱った法は整備されていないので、問題が起こった際にどういった対処を行うかを明確にする必要があります。

まとめ

AIは着実に人々の仕事を代替していきます。AIと人間がうまく協業することが、ビジネスの現場には必須になるでしょう。労働人口の減少が課題になっている日本では、AIを活用することによってリソース不足も解消していかなければいけません。一方で、現時点ではAIは人間の業務すべてを代替できるわけではなく、どこをAIがやってもらうのか、人間がやるのかを、AIの特徴を理解しながら目的と併せて考える必要があります。
AIを使いこなすスキルとともに、人間にしかできないスキルを磨いていく姿勢が、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代です。

自然言語処理

ナレッジマネジメントツール「saguroot」に生成AIを組み合わせ、資料要約表示機能を追加しました。これによりビジネスシーンで多くみられるPDFやOfficeデータをはじめとするデータをキーワードや分類によって、ファイル内の文章、画像含めて横断的・複合的な検索を高速で行うことができます。検索結果には、サムネイルや資料に関する情報に加え、100字程度の要約も表示されるので、検索の目的と合致しているかを直感的に確認できるのもポイントです。

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