ナレッジベースの作り方
失敗しない作成・構築のポイントを解説
- ナレッジマネジメント

現代のビジネスシーンでは、効率的に情報を管理して共有することが、組織の競争力を高めるためには欠かせません。中でもナレッジベースの構築は、関係者が必要な情報を身近にスピーディに手に入れるための手法として着目されています。ナレッジベースをうまく作成・運用できると、業務の効率も顧客の満足度も向上します。本コラムでは、ナレッジベース作成の基本から、よくある失敗例、成功させるためのコツまでを解説します。ぜひ、実践的なナレッジベースを作るためのヒントを見つけていただければ幸いです。
ナレッジベースとは?

ナレッジベースとは、組織や個人が持つ知識や経験、スキルを体系的に整理し、誰でも簡単にアクセス・活用できるようにしたシステムのこと。過去の事例、専門知識、業務マニュアル、FAQなどがデジタル形式でまとめられています。ナレッジベースを活用すると、必要な情報を迅速に見つけられるため、「業務の効率化につながる」「顧客対応力が安定する」「教育コストを削減できる」「個人のスキルが向上する」などのメリットにつながります。人材の入れ替わりが激しい現代の企業にとって、ナレッジベースは組織全体の成長をサポートする重要な経営戦略として位置付けられています。
ナレッジベースの作成準備

ナレッジベースの作り方は、「既存のツールを利用する」か「新たなツールを導入する」か、主に2通りです。
既存のツールを利用する
エクセルやスプレッドシートでナレッジマネジメントを行っている企業もあります。既存のツールが使えれば、新たに情報を収集したり、各種ツールの比較検討をする必要もなく、導入費用もかかりません。また、既に社員が利用しているツールであればレクチャーも不要です。ただ、これらのツールが「ナレッジベース」として優れているかと言うと、必ずしもそうとは限りません。検索性が悪い、操作性が悪い、セキュリティに懸念といったことから、結局あまり浸透しないというケースもあります。
新たなツールを導入する
ナレッジマネジメントによる効果を本気で高めたいのであれば、専門ツールを導入するのが一番です。ナレッジマネジメントを目的に開発されたツールは、「社員が目当てのナレッジを簡単に見つけられる」「必要なタイミングで的確に活用できる」「情報を管理・分析する」といった多彩な機能が備わっています。セキュリティ面でも専門ツールのほうが安心です。下記が代表的な種類です。
社内wiki型
自分の知識や経験を自由にwikiに書き込むことができ、他の人が書いた投稿に対しても編集したり参照したりすることができます。
ヘルプデスク型
事前に想定されるFAQを登録することで、社員や顧客が質問したいときに必要な情報をすぐに引き出すことができます。チャット形式で回答を返してくれるプログラムなどもあります。
グループウェア型
メールやチャットを使い、組織内のメンバーとファイルやスケジュールを共同で管理し、コミュニケーションを円滑に行うことができます。
データベース型
データベースとして蓄積された組織の情報や知識を簡単に検索することができます。
データマイニング型
蓄積された大量のデータからパターンや関連性を発見し、それを新たなナレッジとして活用することができます。
ナレッジベースを作る手順

実際にナレッジベースを作ることになった際、何から着手し、どんな順序で進めればいいのでしょうか。基本の手順をご紹介します。
STEP①目的を明確にする
一言でナレッジベースといっても、部署や部門、組織で求めるものは異なります。専門的な技術をシェアするためなのか、顧客サポートのためなのか。社内のニーズを把握して目的を決めるところがスタートです。
STEP②情報を収集・整理する
ナレッジベースに含める情報を収集し、整理します。情報が多岐にわたる場合はカテゴリごとに分けたり、タグを作成します。不要なものまで蓄積すると管理が複雑になるため、情報は多ければ良いというわけではありません。
STEP③ツールを導入する
上記を踏まえて、自社に適したツールやプラットフォームを選びます。近年では多くの企業が専用のナレッジベースソフトウェアを導入しています。操作性、機能性、セキュリティ、価格など比較検討しましょう。
STEP④コンテンツの作成
実際にナレッジベースにコンテンツを作成します。マニュアル、トラブルシューティングガイド、FAQなど、社員が求める情報を簡潔でわかりやすく提供できるように、ナビゲーションや検索機能を最適化します。
STEP⑤定期的に更新・改善する
一度作ったら終わりではなく、定期的に情報を更新し、改善していくことが重要です。ユーザーからのフィードバックを収集し、新しい質問や問題が出てきた場合にそれに対応する内容を追加します。
ナレッジベース作成でよくある失敗例

ナレッジベースを作成したものの、残念ながらうまく機能できていないというお悩みを聞くことがあります。よくある失敗例を挙げますので、事前に対策をしてみてください。
適切なツールを使用できていない
カテゴリやタグが不明確だったりと、ナレッジが求める形式で提供されていないツールでは、必要な情報を速やかに見つけることができません。自社にマッチするカテゴリー分けやタグ付けを行ったり、社員の知りたいことに答えやすいツールを選ぶことがポイントです。ツールを導入する前には、必ずデモ版を試しましょう。
運用までを想定して作成できていない
時間をかけてナレッジを集約しても、実際に運用を始めると不足している情報が出てきます。ナレッジは年々増えていくので、定期的なメンテナンスは必須です。こまめな更新が行われず、古い情報が散見されれば社員は活用しません。運用しながら常に追加や修正を行ない、ナレッジベースを育てることが求められます。
組織にナレッジ共有の文化がない
ナレッジベースを作成することが目的になってしまうと、このような失敗が起きます。システムを導入し、コンテンツを作成したところで、ナレッジを探しに行くという発想や習慣がなければ本末転倒です。システムの構築と同時に、社員のリテラシーを高める施策も実施していきましょう。
ナレッジベース作成を成功させるポイント

ナレッジベースの作成には、時間も労力も費用もかかります。
なるべく効率的に推進するために、担当者は成功のポイントを踏まえておきましょう。
検索性・管理性が高いツールを選ぶ
質の高いツール、自社に適したツールは、ナレッジマネジメントの強い味方です。直感的で使いやすいインターフェースを備えており、ユーザーがストレスなく高度な情報検索ができることが、もっとも重要です。外部ツールとの連携も管理の観点からはチェックしておきたいです。
運用まで想定した設計を行う
社員のフィードバックを積極的に取り入れ、改善を続けることが成功への鍵です。どの情報が役立ったか、またはどの部分が改善すべきかを定期的に確認し、更新・見直しを行い続けます。管理する部門、責任者、担当者、ナレッジマネジメントプロジェクトにかける工数も確保して、常に活きたナレッジ運用を実現します。
まとめ

AIの発達により、知見をデータベースとして共有できるようになったことが、ナレッジベースの浸透を加速させています。本コラムは、ナレッジベースの作り方をテーマにしましたが、作っただけでは不十分。常に情報を刷新し、旬の知見がつまっていることがナレッジベースの肝になります。ナレッジベースは単なる業務の効率化を超え、組織全体の柔軟性や適応力を向上させ、イノベーションを促進し、競争力を強化する基盤となります。超情報化社会において、「自社独自のデータ」は他社との差別化を図るための貴重な資産です。この財産を適切に管理し、最大限活用していきましょう。
sagurootは、企業向けのナレッジベース作成・管理ツールで、情報を効率的に整理・共有できるプラットフォーム。AI技術を活用し、社内の知識やノウハウを自動的にカテゴライズ・更新し、必要な情報を瞬時に検索・アクセス可能にします。ナレッジベースの作成もご相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください。