コラム

2025.02.12

ナレッジ管理とは?目的から具体的な進め方まで解説

  • ナレッジマネジメント

あらゆる組織は、膨大な情報に囲まれています。とはいえ、それらが有効に活用されていないのであれば、貴重な資産も宝の持ち腐れとなりかねません。そこで注目されるのが「ナレッジ管理」というアプローチです。本コラムでは、ナレッジ管理のメリット、具体的な手法、そして導入のステップについて取り上げました。詳しく解説します。ナレッジ管理に初めて取り組む方や、運用をさらに効果的にしたいと考えている方に、ぜひお読みいただければと思います。

ナレッジ管理とは?

ナレッジ管理とは、組織の中で社員がもっている知識やスキルを、効果的に収集、整理、共有、活用するための管理手法を指します。ナレッジを管理する目的は、組織内に点在する情報を最大限に活用し、業務の効率化やイノベーションを促進することです。ナレッジ管理がうまくできていると、企業の競争力が高まり、組織の成長をサポートするなど多大な効果を発揮します。ナレッジ管理の概念は、1990年代初頭に企業や組織の経営戦略として広まり始め、特に1991年に著書『The Knowledge-Creating Company』を発表した野中郁次郎教授と竹内弘高教授が提唱した「知識創造理論」は、ナレッジ管理の発展に大きな影響を与えました。

ナレッジ管理のメリット

ナレッジ管理が円滑にできていると、下記のようなメリットが生まれます。

知的業務のパフォーマンスが高まる

ナレッジマネジメントが加速すると、複数のナレッジが組み合わされ、新しいナレッジ、画期的なナレッジ、高度なナレッジが生み出せる可能性があります。結果、企業独自の知的資産が増え企業の競争力が向上します。新商品やサービスの開発にもつながるかもしれません。ナレッジを蓄積する過程で、業務プロセスの改善や、社内規定の見直しも起きやすいです。

組織全体の生産性・効率性が向上する

優秀な社員やベテラン従業員が持つノウハウや仕事のコツを共有できれば、企業全体のレベルアップが見込めます。例えば営業成績トップの社員がやっているやり方が拡散され、実践されれば、営業部門としての売り上げがアップするということです。属人化することなく有益なナレッジがまとまっていれば、求めている情報にスムーズにたどりきやすく、業務効率化にも貢献します。

人材教育・育成を効率化する

人材教育・育成を効率化するナレッジマネジメントは、人材育成にも効果的です。自社の製品やサービスの基本情報は、ある程度決まっているものです。これをナレッジマネジメントツールで管理すれば、新人社員は自分で勉強することが可能に。研修にかかる時間を短縮でき、教育担当者の負荷も減るでしょう。研修時によく出てくる質問をまとめておくのもおすすめです。

組織内のコミュニケーションが促進する

会社の未来、後輩の未来を真剣に考えるならば、キャリアのある社員は積極的にナレッジを共有するでしょう。ナレッジマネジメントを通して、社員同士が協力しあうカルチャーが醸成されていきます。さらにナレッジを持つ社員を特定できる機能があれば、その知見を求めている人から問い合わせもしやすく、社内コミュニケーションを活性化することができます。

ナレッジ管理の手法

ナレッジ管理の手法として、4つのアプローチを紹介します。

ベストプラクティス型

経験値の高い社員の知識やノウハウを形式知化し、社内全体で活用する方法。共有すべきナレッジを可視化、言語化し、ナレッジ共有ツールに蓄積することで、社員全員のスキルの底上げを目指します。ベストプラクティス型では、個人のナレッジをいかに収集するかが鍵になります。

知的資本集約型

組織に蓄積された膨大な知識データを経営戦略に役立てる方法です。データウェアハウスやデータマイニングなどの専用ツールを使用して、膨大なデータを多角的に分析し、新しい価値を生み出すことを可能とします。分散されたナレッジを集約し整備することにより、収益アップを目指します。

専門知識共有型

社員の専門知識をデータベース化し、すぐに検索・閲覧できるようにするナレッジマネジメントシステムのこと。いわゆるFAQページのようなもので、質問への回答を予め用意しておくことによって、担当者の負担を減らすなど、時間削減や業務の効率化に貢献します。

顧客知識共有型

顧客とのやりとりや対応履歴をデータベース化し共有することで、最適な対応策を導き出す手法です。顧客情報が多ければ多いほどデータベースは充実し、自身が経験したことのないケースでも適切な対応がしやすくなるほか、社員によって対応に差が出ることが少なくなります。

詳細はこちらのコラムもご参考ください。
ナレッジマネジメントの4つの手法を解説!特徴や適切な用途とは?

ナレッジ管理の導入手順

ナレッジ管理に取り組むことが正式に決まったら、下記5つのステップで進めてみてください。

STEP①担当者・チームの編成

ナレッジ共有をプロジェクト化し、リーダーや担当者を決めます。担当者は自社の課題を洗い出したうえで、蓄積すべきナレッジを定め、集約していきます。カテゴリー、タイトルの立て方など、ガイドラインも設定すると良いでしょう。ナレッジがツール内に集まったあとも、間違いがないか、古いものはないか、似たようなものがないかなど、定期的にナレッジを確認してメンテナンスをするのも大切です。

STEP②導入する目的の設定

なぜナレッジマネジメントを進める目的も明確にしましょう。目的が決まっていないと、社員への理解が得られず、どんなナレッジを蓄積すればいいのかもわかりません。曖昧なまま進んでしまうと、とりあえずナレッジを集めたものの、業務の改善や社員のスキルアップにつながらないといった結果を生んでしまうかもしれません。自社の課題を洗い出すところに時間をかけ、得たい成果を明文化しておくことが重要です。

STEP③共有情報の選定と知識の収集・整理

具体的にどんな内容をナレッジとして共有するべきかは、業界、企業、部門、職種によって異なるため、一概には言えません。例えば営業職で考えた場合は、商談中に手応えのあったセールストーク、受注した顧客へ使った提案資料、顧客情報、競合企業情報などのほか、受注・失注の要因分析などが挙げられます。現場スタッフに聞いて、どんなナレッジがほしいか、どんな情報不足に困っているかも聞いて整理します。

STEP④仕組み・技術基盤の整備

ナレッジマネジメントツールの代表的なものとして「ヘルプデスク型」「業務プロセス型」「ベストプラクティス共有型」「経営資産・戦略策定型」などがあります。業界や業種、組織、部門の性格によって、導入するべきツールは異なるため、それぞれの特徴を理解して、自社に合った製品を選びます。既に使っているツールを活用するのもひとつですが、ナレッジマネジメントに特化したツールがナレッジの収集や検索には、やはり便利です。

STEP⑤社員のサポートと定期的な評価・改善

ナレッジマネジメントを始めて数ヶ月後、何も内容が更新されていないこともあります。ナレッジの共有はできていても、集めるだけで満足してしまい、活用されていないケースもあります。定期的にツールの利用状況を分析し、社員へのアンケート調査を実施するなどして効果を測定しましょう。それを踏まえて評価、改善をしつづけていくことは必須です。

ナレッジ管理に有効なツール

ナレッジ管理を推進するために、ナレッジマネジメントツールを導入しない手はありません。例えば、クラウド型の情報共有ツールやデータベースであれば、情報共有の時間が短縮できます。AIを活用した自動タグ付けや検索機能を備えたツールを導入すれば必要な情報を効率的に見つけることが可能になるでしょう。さらには知識を持つ人材をリサーチできる機能があれば、組織内でのナレッジシェアは一層深まり、コミュニケーションの促進や意思決定のスピードアップ、イノベーションの創出にも寄与します。

sagurootは、情報検索の効率化とデータ共有をきっかけにした、社内のコミュニケーションと新しい価値の創造を支援するデータ・ドキュメント活用を目的にしたツール。新しい検索体験を通じて、価値ある情報を見出すとともに、ナレッジを持つ人材のネットワークを構築することで、企業の成長を支えます。

まとめ

終身雇用が崩壊し、働き方の多様化が進む中で、ベテラン社員の知識やスキルの継承はますます困難になっています。この状況において、ナレッジ管理はもはや「あるといい便利な選択肢」ではなく、「生き残るための必須条件」です。世界中のどこからでも、誰でもがインターネットで簡単に情報を得られる現代において、社員しか持ちえていない固有の知的資産こそが、企業の未来を加速させます。sagurootなどの専門ツールをぜひ活用して、効果的なナレッジ管理に取り組んでください。

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