営業ナレッジマネジメントとは?営業組織の課題を解決する仕組みを解説
- ナレッジマネジメント
営業活動では、ただ単に会社を紹介し、商品やサービスの特徴を伝えるだけではなく、お客さまの求めるニーズや状況に合わせた適切なアプローチが求められます。そのためには、優秀な営業パーソンのナレッジを共有し、効果的に活用していくことが不可欠です。本コラムでは、営業ナレッジマネジメントに特化して、その重要性やメリット、共有すべき内容、実施する際のポイントを解説します。営業部門のみなさまは、ぜひ参考にしてください。
営業ナレッジマネジメントとは?
ナレッジマネジメントとは、知識やノウハウ、成功事例や失敗事例といったナレッジを社内で共有し、企業の成長につなげていく経営手法のこと。優秀な人材の暗黙知を形式知へと転換し、全社員が活用することがナレッジマネジメントの目的です。さらに営業に特化した「営業ナレッジマネジメント」とは、営業にまつわる知恵や知識を社内で共有し、活用するマネジメント手法のことをいいます。営業活動は各営業パーソンに委ねられがちですが、結果を出している社員のナレッジを活用することで、営業全体のスキル向上につながっていきます。
営業ナレッジマネジメントが重要である理由
なぜ営業部⾨にナレッジマネジメントを導⼊したほうがよいのか。
まずは営業部⾨が陥りやすい状況や、直面しやすい課題について考えてみましょう。
知識や経験が属人化しやすい
個々の営業が担当クライアントを持っているケースが多く、商談の内容が不透明になりがちな職種です。属人化が当たり前になってしまうと担当者にしか対応できない事態が起きたり、担当者が異動や退職をする際に引き継ぎが上手くいかなかったり、トラブルに発展することもあります。
情報の変化が速くて追いつけない
営業パーソンの重要なミッションのひとつに新規開拓があります。新規の顧客にアプローチするには、市場の動向や競合他社の強み弱みなど、変化しつづける情報を把握しなければなりません。しかし実際は目の前の業務に追われ、既存顧客のフォローに時間を取られ、情報の収集に時間を割けないという声が聞かれます。
顧客情報の管理が煩雑
顧客情報をスマートに管理できないという課題を抱える企業も少なくありません。社名や担当者、連絡先といったインフォメーションだけではなく、取引履歴、やり取りの履歴などが見える化されていないと、顧客ニーズを把握できないまま営業チャンスを失ったり、同じミスを繰り返して契約が打ち切られたりする可能性もありえます。
営業ナレッジマネジメントを導⼊するメリット
上記に述べたような状況や課題を解決するために、営業ナレッジマネジメントの導入は有効な手法です。
ここでは3つのメリットを抽出してみました。
属⼈化を防ぐ効果
担当者の不在中に顧客から問い合わせがあった場合も、情報が共有されていれば、ほかの営業マンが対応できることも多いです。また、ひとつの企業と何年、何十年と取引することは珍しくないため、途中で担当者が変わることはよくある話です。その際にも営業ナレッジマネジメントが行われていれば、引き継ぎがスムーズです。
業務の効率化
売り上げをあげている営業マンのナレッジを部門全体で共有することで、個々の営業力が向上します。実際に使っている資料を流用させてもらったり、資料の作成方法を教えてもらったりすれば、時間短縮につながり務の効率化が図れます。実力差を放置しないことで、効率的な営業環境が整っていきます。
人材育成やスキルアップに役立つ
新人を育てるときには、一般論的な知識を口頭で伝えたり、先輩社員と同伴して得意先を回ったりということに、これまで多大な時間がかかっていました。営業ナレッジマネジメントを導入すれば、速やかにノウハウやスキルを学ぶことができ、新人の早期育成につながります。もちろん新人でなくてもスキルアップが期待できます。
営業ナレッジとして共有すべき内容
それでは具体的にどんな内容を営業ナレッジとして共有するべきでしょうか。
忙しい営業パーソンの成果につながるような営業ナレッジの例をご紹介します。
セールストーク関連情報
商談中に手応えのあったトークをチームに共有することで、営業の平準化につながります。「この言葉を使うと反応がいい」「この順番で話すとクロージングの成功率が上がりやすい」「~というトークはお客さまを尻込みさせてしまった」など、良いものも悪いものも含めて、実際の会話の内容を共有してみてください。
提案資料
受注した顧客へ使った提案資料も、積極的に共有してください。ゼロから提案資料を作るのは多大な時間や労力がかかる業務です。チームとして同じ製品やサービスを営業しているのだからこそ、提案資料を流用することで工数の削減や、提案力の底上げが実現し、全体の受注率の向上にもつながります。
顧客情報
市場の動向、業界の特徴、お客さまの状況などは日々刻々と変わっていくため、顧客情報は常に最新の内容を全員が把握できる状態が望ましいです。また営業活動では競合コンペを経ての受注ということも多々あるので、競合企業の情報も知りたいときに知れるという営業ナレッジマネジメントが理想です。
受注・失注の要因分析
成功事例も失敗事例も、今後につながる貴重な情報です。どちらのケースも理由も分析して、それも併せて共有することで、より価値のある情報になるでしょう。自分なりの考察を明文化することで、周囲から自分では考えつかなかったような有用なアドバイスがもらえる可能性も高まります。
営業ナレッジマネジメントを実施する際のポイント
現場の協力がない限り、ナレッジを集めることはできません。
速やかに営業ナレッジマネジメントを推進するために、以下のポイントを踏まえてください。
ナレッジ共有が浸透しない課題を理解する
優秀な営業マンほど抱えている案件も多く忙しいもの。貴重な時間をナレッジマネジメントに割くことは好まないかもしれません。しかも自分はアドバイスがもらえるのではなく、提供する側…。営業部門の底上げは会社の成長につながり、ひいては自分にも返ってくるなど、ナレッジを共有したくなるようなメリットを伝えます。
ナレッジ共有の⽬的を定める
メリットとして、属人化を防ぐ、業務の効率化、社員教育について説明しましたが、目的を絞るという戦略もいいと思います。例えば「社員教育」に特化して再現性の高いナレッジを共有することで、経験やスキルに関係なく独り立ちできるスピードを加速させる。それにより教育コストと先輩社員の負担を削減するといったことです。
共有する内容を明確にする
ナレッジというのは非常に広い領域を指す言葉なので、何を共有するべきかを明確にしないと混乱を招くこともあります。事業方針、提案資料、顧客情報など、特に営業部門に役立ちそうな内容を抽出してカテゴライズすれば、自分が持っているナレッジが役に立つかどうかの判断になります。
⾃社の営業部⾨に適したナレッジマネジメントツールを導⼊する
業界や業種、組織としての性格によって導入するべきツールは異なります。代表的なものとして「ヘルプデスク型」「業務プロセス型」「ベストプラクティス共有型」「経営資産・戦略策定型」などがあります。それぞれの特徴を理解して、自社に合った製品を選んでください。「saguroot」のように、知見を持った社員も検索できるタレントマネジメントの機能を持ったツールも営業活動をサポートします。
まとめ
営業は個々の力量であると捉えられがちで、確かにそういう一面もあると思います。でも実際はナレッジを共有することで業績の拡充が望みやすい職種です。営業マンの存在意義は、売り上げに貢献し、企業の成長を加速させること。ぜひ営業やマーケティングの成果につながるような情報を共有しあう文化をつくりましょう。営業ナレッジマネジメントを導入することで協力関係が生まれれば、社内のムードも良くなりエンゲージメントもUP。働きやすい職場も実現するのではないでしょうか。
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