ナレッジマネジメントのメリットとは?デメリットや導入手順も解説
- ナレッジマネジメント
社員がキャリアを通じて得るナレッジは、企業にとって重要な資産です。しかしそれらは言語化されてない「暗黙知」であることも多く、そのままでは組織全体で活用するのは困難です。有益なナレッジが共有され、活用されれば、業務効率化や人材育成のサポート、コミュニケーションの活性化など、経営に大きなメリットが生まれます。本コラムでは、ナレッジマネジメントのメリットを中心に、導入の手順やツールの選び方について解説します。
ナレッジマネジメントとは?
ナレッジマネジメントとは、知識やノウハウ、成功事例や失敗事例といったナレッジを社内で共有し、企業の成長につなげていく経営手法のこと。言語化が難しい「暗黙知」を、誰もが理解できる「形式知」へと転換し、全社員で活用することがナレッジマネジメントの目的です。社内でナレッジマネジメントがうまく回っていると、業務の効率化や組織内の連携の強化、人材育成の面でも効果を発揮します。また、ナレッジマネジメントの軸にはSECIモデルという考え方があります。SECIモデルとは、共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、結合化(Combination)、内面化(Internalization)というプロセスを繰り返すことで、組織内で知識が普及し、創造され、実践につながるという理論のこと。4つの頭文字をとって「SECIモデル」と呼ばれています。
ナレッジマネジメントのメリット
個人のナレッジを組織全体で活用したときに得られる効果はたくさんあります。
ここでは主な4つのメリットをピックアップしました。
高度な知的業務のパフォーマンスを高める
ナレッジマネジメントが加速すると、複数のナレッジが組み合わされ、新しいナレッジ、画期的なナレッジ、高度なナレッジが生み出せる可能性があります。結果、企業独自の知的資産が増え企業の競争力が向上します。新商品やサービスの開発にもつながるかもしれません。ナレッジを蓄積する過程で、業務プロセスの改善や、社内規定の見直しも起きやすいです。
組織全体の生産性・効率性を向上させる
優秀な社員が持つノウハウや仕事のコツを共有できれば、企業全体のレベルアップが見込めます。例えば営業成績トップの社員がやっているやり方が拡散され、実践されれば、営業部門としての売り上げがアップするということです。有益なナレッジがまとまっていれば、求めている情報にスムーズにたどりきやすく、業務効率化にも貢献します。
人材教育・育成を効率化する
ナレッジマネジメントは、人材育成にも効果的です。自社の製品やービスの基本情報は、ある程度決まっているものです。これをナレッジマネジメントツールで管理すれば、新人社員は自分で勉強することが可能に。研修にかかる時間を短縮でき、教育担当者の負荷も減るでしょう。研修時によく出てくる質問をまとめておくのもおすすめです。
組織内のコミュニケーションを促進させる
会社の未来、後輩の未来を真剣に考えるならば、キャリアのある社員は積極的にナレッジを共有するでしょう。ナレッジマネジメントを通して、社員同士が協力しあうカルチャーが醸成されていきます。さらにナレッジを持つ社員を特定できる機能があれば、その知見を求めている人から問い合わせもしやすく、社内コミュニケーションを活性化することができます。
ナレッジマネジメントのデメリット
ではナレッジマネジメントにデメリットはあるのでしょうか。
この段落では懸念になりそうな点と、その際に注意したいポイントをお伝えします。
リソースやノウハウが必要
ナレッジマネジメントを円滑に進めるには、時間と労力がかかりますし、ある程度のノウハウも必要です。ツールの選定にはじまり、カテゴリー分けやフォーマット作成など、担当者は情報を収集して自社にあったナレッジマネジメントの在り方を見極めなければなりません。運用が始まったあとも継続して更新状況をチェックしなければなりません。ナレッジマネジメントの重要性やメリットが社内に伝わっていることが、スムーズな運営のポイントです。
社員に浸透しない、活用されない
ツールを導入し、環境を整備したものの、ナレッジ検索する習慣がつきにくく活用できないケースも残念ながら見受けられます。原因は「内容が古くてほしい情報がない」「情報が見つけにくい」「ツールが使いにくい」などが挙げられています。こうした状況に陥らないためにも、ナレッジマネジメントツールの導入がおおすめです。常に情報の鮮度が担保できるように、ナレッジを管理する担当者も決めておきましょう。
ナレッジマネジメントの導入手順
ナレッジマネジメントを導入することが決まったら、下記5つのステップで進めてみてください。
担当者・チームの編成
ナレッジ共有をプロジェクト化し、リーダーや担当者を決めます。担当者は自社の課題を洗い出したうえで、蓄積すべきナレッジを定め、集約していきます。カテゴリー、タイトルの立て方など、ガイドラインも設定すると良いでしょう。ナレッジがツール内に集まったあとも、間違いがないか、古いものはないか、似たようなものがないかなど、定期的にナレッジを確認してメンテナンスをするのも大切です。
導入する目的の設定
なぜナレッジマネジメントを進める目的も明確にしましょう。目的が決まっていないと、社員への理解が得られず、どんなナレッジを蓄積すればいいのかもわかりません。曖昧なまま進んでしまうと、とりあえずナレッジを集めたものの、業務の改善や社員のスキルアップにつながらないといった結果を生んでしまうかもしれません。自社の課題を洗い出すところに時間をかけ、得たい成果を明文化しておくことが重要です。
共有情報の選定と知識の収集・整理
具体的にどんな内容をナレッジとして共有するべきかは、業界、企業、部門、職種によって異なるため、一概には言えません。例えば営業職で考えた場合は、商談中に手応えのあったセールストーク、受注した顧客へ使った提案資料、顧客情報、競合企業情報などのほか、受注・失注の要因分析などが挙げられます。現場スタッフに聞いて、どんなナレッジがほしいか、どんな情報不足に困っているかも聞いて整理します。
仕組み・技術基盤の整備
ナレッジマネジメントツールの代表的なものとして「ヘルプデスク型」「業務プロセス型」「ベストプラクティス共有型」「経営資産・戦略策定型」などがあります。業界や業種、組織、部門の性格によって、導入するべきツールは異なるため、それぞれの特徴を理解して、自社に合った製品を選びます。既に使っているツールを活用するのもひとつですが、ナレッジマネジメントに特化したツールがナレッジの収集や検索には、やはり便利です。
社員のサポートと定期的な評価・改善
ナレッジマネジメントを始めて数ヶ月後、何も内容が更新されていないこともあります。ナレッジの共有はできていても、集めるだけで満足してしまい、活用されていないケースもあります。定期的にツールの利用状況を分析し、社員へのアンケート調査を実施するなどして効果を測定しましょう。それを踏まえて評価、改善をしつづけていくことは必須です。
ナレッジマネジメントにはツール導入が有効
エクセルやスプレッドシートでナレッジマネジメントを行っている企業もあります。それでもナレッジを蓄積することはできますが、ナレッジマネジメントを業務効率や生産性の向上に直結させたいのであれば、ナレッジマネジメントツールを導入するのが一番です。専門ツールには、社員が目当てのナレッジを簡単に見つけられる、必要なタイミングで的確に活用できる、情報を管理・分析するといった多彩な機能が備わっています。デメリットとしては、導入・管理の手間がかかることや、社員がツールを使いこなすのに時間がかかることがあるので、事前に機能や費用、検索性や操作性も事前にチェックしておきましょう。
ナレッジマネジメントツールの選び方
ナレッジマネジメントツールは多種多様なものがあるため、自社の目的に合わせて選ぶ必要があります。いくつか目星をつけたら、ナレッジの登録や編集のしやすさ、検索性、見やすさなどをデモ版で確認してください。そのほか、既存のシステムと連携が可能か、サポート体制が整っているか、セキュリティ強度には問題がないかなども大切な確認点になります。
まとめ
暗黙知を形式知に変える。形式知を企業の資産として経営判断の材料に加え、斬新な戦略や、新しい製品やサービスを生み出す。これを繰り返すことによって、個々の社員がスキルアップし、企業全体の成長が加速していきます。リモートワークの一般化や働き方改革の推進、AIの進化などによって、ナレッジマネジメントは以前よりも実践しやすくなっていると思います。まだナレッジマネジメントに取り組んでない方、進めているけれどさらに改善させたい方、改めてポイントを理解し、業務に活かしていただければ幸いです。
sagurootは、さまざまな機能によってナレッジをよりスムーズに発見していただくことができ、高度な知的業務を実現します。