セマンティック検索とは?特徴や仕組みなど概要から解説
- 生産性向上

インターネットや社内データベースで検索する際、「ほしい情報がうまく見つからない…」と感じたことはありませんか? そんな課題を解決する技術として注目されているのが、単なるキーワードの一致だけでなく、言葉の意味や文脈を理解して、より的確な情報を探し出す「セマンティック検索」です。本コラムでは、セマンティック検索の基本的な仕組みや、従来の検索との違い、導入による利点などをまとめました。実例も交えながら、セマンティック検索の全体像をご紹介します。
セマンティック検索とは?

セマンティック検索とは、ユーザーが入力したキーワードの「意味」を理解し、文脈に即した検索結果を返す技術です。従来の検索エンジンがキーワードの一致を重視していたのに対し、セマンティック検索は単語の背後にある意図や関係性を考慮して情報を探すため、ユーザーは曖昧な表現や自然な言い回しで検索しても、的確な結果を得やすくなります。セマンティック検索は、情報の精度と利便性を高め、ユーザーの検索体験を大きく向上させるアプローチとして、今後ますます重要になると考えられています。
セマンティック検索に関連する検索方法

セマンティック検索についての理解を深めるために、そのほかの検索方法についても見てみましょう。
全文検索
全文検索とは、文書内のすべての語句を対象として、指定されたキーワードを含む情報を抽出する検索手法です。特定の単語やフレーズがどこに現れていても検索結果として表示されるため、網羅性に優れています。一方で、検索語と無関係な文脈でも一致してしまうことがあり、結果の精度が下がることもあります。セマンティック検索とは異なり、検索語の意味までは考慮されず、あくまで文字列ベースでの一致が前提となっています。
完全一致検索
完全一致検索とは、入力されたキーワードと文字列が「一字一句同じ」であるデータのみを抽出する検索方法です。たとえば「地域創生」と入力した場合、「地域づくり」や「地方創生」などの類義語や関連語は検索対象となりません。文字列の一致を厳密に求めるため、精度は高いものの、柔軟性に欠けるという側面があります。セマンティック検索のように意味の近さや表現のゆれを考慮することはできません。
あいまい検索
あいまい検索とは、表記ゆれや誤字・脱字、漢字の違いなどに対応した検索手法です。「さいとう」と入力して「斎藤」や「齋藤」もヒットさせるような柔軟性があります。部分一致や類似語の検索にも対応しており、ユーザーの入力ミスや異なる表記をカバーできるのが特徴です。ただし、語句の意味や文脈までは判断できないため、セマンティック検索のように「意味の近さ」まではカバーしていません。
セマンティック検索の利点

セマンティック検索の最大の利点は、言葉の意味や文脈を理解して検索結果を導き出せる点にあります。従来の全文検索や完全一致検索では、入力されたキーワードと文字列が一致するかどうかが検索の基本でしたが、セマンティック検索では、たとえ言葉が異なっていても意味が近ければ検索対象となります。たとえば「地方創生」と検索した際に、「地域活性化」「地域振興」などの関連語も結果に含まれる可能性があるのです。これにより、ユーザーが使う語彙に依存せず、より直感的で自然な検索体験が実現します。また、あいまい検索のように誤字や表記ゆれに対応する柔軟性も持ちつつ、意味の近さまで考慮できる点が大きな違いです。情報量が多く、検索の目的が多様化する現代においては、検索キーワードに頼らずに、探している情報の本質に近づけるセマンティック検索の重要性が高まっています。
セマンティック検索の仕組み

セマンティック検索は、キーワードを単に一致させるのではなく、言葉の意味や文の流れを理解して、関連する情報を探し出す賢い検索方法です。文章や単語は、意味に応じて数値に変換し、検索したい言葉も同じように数値化します。その上で、どれだけ意味が近いかを数値で比べて、近いものほど上位に表示されます。たとえば、検索語が文中に直接書かれていなくても、意味が通じていれば結果に出てくるのが特徴です。これにより、より自然な言葉で検索しても、求める情報にたどり着きやすくなります。
セマンティック検索の例

セマンティック検索は、社内ナレッジ検索やFAQシステムの分野でも活用が進んでいます。例えば、問い合わせ対応において、ユーザーが自然文で入力した質問に対して、過去の事例や資料から意味的に関連する情報を抽出し、素早く正確な回答を導き出すことができます。日常のさまざまな場面でも使われていて、代表的な例が、検索エンジンです。たとえば「富士山 登り方」と検索すると、「富士山 登山ルート」「富士登山 初心者向け」など、入力したキーワードと完全に一致していない情報も、意味的に関連していると判断され、検索結果に表示されます。これは、単なるキーワードマッチではなく、検索意図を理解しているからです。ECサイトでも導入されており、ユーザーが「オフィスチェア 腰痛」と検索すれば、「腰にやさしい椅子」や「長時間座っても疲れにくい椅子」といった表現が異なる商品も結果に含まれます。
まとめ
セマンティック検索を使うと、AIと会話をしているような印象を持つことがあります。ピンポイント情報提示ではなく、文脈や背景を読んで、自分の求めているものを瞬時に抽出してくれる体験には、検索精度の劇的な向上を感じます。セマンティック検索は、社内ナレッジ活用や検索エンジンやECサイトなど、社会のさまざまな場面で活用が進んでいます。過去の検索履歴を考慮して、パーソナライズされた提案を行うこともできます。情報過多の時代において、本当に求めている情報に柔軟に対応してくれるセマンティック検索。今後、さらなる発展が期待されます。