コラム

2023.12.26

エンタープライズサーチの効果的な活用方法とは?
事例から可能性に迫る

  • エンタープライズサーチ
エンタープライズサーチの効果的な活用方法とその可能性

昨今、AI(人工知能)技術の進化によって、情報検索機能の精度は上がってきており、その一環でエンタープライズサーチという言葉は耳にするものの、実際に採用するとなると自社ではどんなシーンで活用できるのでしょうか。

本コラムではエンタープライズサーチの活用方法や例などを中心に、担当者の方に向けたポイントをまとめました。

エンタープライズサーチとは

エンタープライズサーチとは

エンタープライズサーチとは、社内のサーバ、クラウドのストレージ、ローカルなどさまざまな場所に保管されているデジタルデータを一括で横断検索できる企業内検索エンジンのこと。ファイル形式も文書、PDF、画像、動画などを問わずに検索することが可能なため、情報検索の効率を上げるツールとして広く利用されるようになりました。

エンタープライズサーチとは?機能や導入メリットなど基礎から解説

エンタープライズサーチの活用方法

エンタープライズサーチの活用方法

本コラムでは、エンタープライズサーチにおける7つの活用方法をピックアップします。

社内情報検索の効率化

エンタープライズサーチの導入によって、保管場所に関係なくデジタルデータを横断的に検索できれば、各ストレージで検索をかける必要がなくなり、情報の検索における業務効率が格段にアップします。またスマホやタブレットと連携すればどこからでもアクセスできるため、さらなる効率化につながります。

ビジネスインテリジェンス

エンタープライズサーチを活用することで、個々の業務間でのデータや、作業の途中で発生するニーズの把握、情報の共有を全社員が把握できる状況が整います。またリアルタイム性もエンタープライズサーチの特徴。即時に情報が更新・共有されることで、新規企画や経営戦略などに関する重要な意思決定を、より迅速に行うことが可能になります。

ナレッジマネジメント

エンタープライズサーチの主な目的は、ナレッジマネジメントです。たとえばひとつの製品に対しても、開発情報・設計情報・メンテナンスマニュアル・ユーザマニュアル・修理記録にいたるまで、部署や個人が持っていた知識やノウハウを組織全体で共有すれば、生産性は向上しますし、新規事業の道も拓けるかもしれません。もちろん社員のスキルアップや新人教育にも好影響です。

ヘルプデスク業務

エンタープライズサーチをヘルプデスクに採用すれば、問い合わせ内容をファイリングする必要がなくなり、ログを保存しておくだけで類似の問い合わせを瞬時に検索できます。ヘルプデスクの肝である回答までに要する時間の短縮はもちろん、人件費の削減によるコストメリットも期待できるでしょう。サービスデスクやコールセンターの業務改善にも応用できます。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、単に進行の管理を行うだけでなく、収集した情報をもとにさまざまな角度から分析を行い、プロジェクトの質を高めることも目的です。プロジェクトマネジメントの要は、情報共有とコミュニケーションです。エンタープライズサーチでプロジェクトに関連する情報を一元的に検索することができていれば、メンバーも状況を把握しやすいです。

ECサイト運営

エンタープライズサーチでは、一部の情報を顧客向けに公開することができます。例えばリアルタイムの在庫情報などが伝えられれば、購買につながりやすくなるかもしれません。また正しい製品名がわからないときに顧客が入力した曖昧なキーワードから、マッチングしそうな商品を提案することもできるため、顧客が知りたい情報を適切に提供できる可能性が高まります。

セキュリティ対策

エンタープライズサーチはアクセス権の設定ができるので、機密情報や財務データなど、重要なファイル、資料も保管できます。システムを利用する際には認証機能によって外部からのアクセスは制限するため、情報漏洩のリスクにも配慮されていると言えます。管理者は適切なアクセス制限設定を行い、範囲を限定したうえで情報共有を行うことができます。

エンタープライズサーチの活用例

エンタープライズサーチの活用方法を踏まえ、より具体的に活用した場合のシチュエーションとして、エンタープライズサーチの活用例を簡潔にご紹介します。

製造業企業における技術文書検索の効率化

ある製造業企業では、膨大な技術文書、設計図面、製品仕様書などが社内に散在していました。これらの情報は部門ごとに異なるシステムで管理されており、必要な情報を迅速に見つけることが困難という問題に対して、その解決策としてエンタープライズサーチを導入しました。

その結果、エンジニアが必要な技術文書や設計図面をスムーズに検索・取得できるようになり、製品開発のスピードが向上し、エンジニアの作業効率も大幅に改善されました。また、情報の重複や古いバージョンの使用を防ぐことができ、品質管理の強化にも寄与しました。

金融機関における顧客対応の迅速化

ある金融機関では、顧客からの問い合わせに対する迅速な対応が求められていたものの、顧客情報や過去の取引履歴、関連する法規制情報などが複数のシステムに分散しており、担当者が情報を探し出すのに時間がかかるという課題がありました。

エンタープライズサーチを導入することで、顧客情報、取引履歴、法規制情報などを一元的に検索できるようになりました。これにより、顧客対応の担当者は必要な情報を瞬時に取得できるようになり、問い合わせに対する応答時間が大幅に短縮されました。結果として、顧客満足度が向上し、顧客からの信頼も厚くなりました。

IT企業におけるナレッジ共有の促進

あるIT企業では、プロジェクトごとに異なるチームが活動しており、ナレッジの共有が課題となっていました。特に、新しいプロジェクトを立ち上げる際に、過去のプロジェクトで得た知見やベストプラクティスを活用することが難しい状況でした。

エンタープライズサーチを導入することで、プロジェクトの報告書やコードリポジトリなど、さまざまな形式のナレッジを一元的に検索できるようになったことで、社員は過去のプロジェクトで得られた知見を簡単に検索し、新しいプロジェクトに活用できるようになりました。加えて、ナレッジシェアリングの文化が醸成され、社員間のコラボレーションが促進されました。プロジェクトの成功率向上だけでなく、ナレッジ共有によるイノベーションの加速にもつながりました。

エンタープライズサーチの選定ポイント

エンタープライズサーチの選定ポイント

次に、エンタープライズサーチの導入を検討する際に押さえておきたい4つのポイントについてご紹介します。

検索範囲

まずは、自社で使用しているツールやファイル形式に対応しているか。ワードやエクセルといった一般的なファイル形式の文書は、エンタープライズサーチの標準機能だけで検索できることが多いですが、グループウェアなども検索対象とする場合はどうなのか確認しましょう。製品によっては画像や動画、音声ファイルの検索ができるものもあるので、自社において活用頻度の高そうなものを選びます。

検索のしやすさ

レスポンスが速いエンタープライズサーチであれば、ストレスなく日々の業務に活用できます。もちろん検索時にほしい情報がきちんと検索結果として返ってくるかも確認が必要です。文書やデータ内に検索語句が含まれているかどうかだけではなく、類似文書がヒットするか、検索意図に沿ったデータにたどりつけるかも大切です。全社員が使用した際にもレスポンスが遅くならず、安定した検索性を維持できるかも確認しましょう。

検索結果の見やすさ

検索する際の操作画面はわかりやすいか。検索結果画面の一覧性は高いか。検索結果画面にサムネイルやプレビュー機能はあるかなど、インターフェイスも確認しましょう。機能が多すぎて表示が煩雑になっていたら本末転倒です。インターフェイスは利用頻度に直結するので、導入の際はデモ版や評価版などで事前に試してみることをおすすめします。

セキュリティ

エンタープライズサーチを導入すると、部門外からもそれまでアクセスすることのなかったファイルにアクセスできるようになります。社内でも共有したくない情報などがある場合は、アクセス権限の設定機能を利用したり、ファイルサーバの設定を変更する必要があります。セキュリティ対策は、導入前に必ず確認するべきポイントの1つです。

エンタープライズサーチの今後

エンタープライズサーチの今後

エンタープライズサーチ市場の規模は、2028年には69億米ドルに達すると予測されているデータもあります。
また今後は、ますますAI(人工知能)技術が発展していくことにより、検索結果の精度や速度が向上し、より高度な検索条件にも対応できると考えられます。自然言語処理技術がさらに進化すれば、より自然な言葉で直感的に検索を行うことができるでしょう。
音声入力による検索ができれば、作業中で手が塞がっている場合などにも検索が可能になるなど、検索スタイルそのものにも変化があるかも知れません。最後に「コグニティブサーチ」をご紹介します。
コグニティブサーチとは、エンタープライズサーチの進化版。検索結果を示すだけではなく、ユーザーによる検索の意図までを理解した上で、関連性の高い情報を提示する技術です。AIを駆使した情報検索が業務の生産性向上に一層欠かせないものになっていく未来は、もう既に始まっています。

エンタープライズサーチとChatGPTの違いとは?

まとめ

デジタル化が急速に広がる製造業、デジタル情報そのものをメインで扱う情報通信業、多種多様な種類のデータを管理する建設業、若いスタッフが多いサービス業、商品のサイクルが早い小売業、なかなかDXが進まない自治体…など、企業や団体の状況によって、エンタープライズサーチの活用の仕方や選定のポイントは変わってきます。自社が効果的にエンタープライズサーチを使うためにはどの製品がよいのか、ヒアリングやシミュレーションを重ねながら検討してみてください。

sagurootはファイルの中身まで一括で検索することができるだけではなく、その担当者の情報から、担当者が持っている知見を可視化するため、その知見を求めている人とのマッチングを生むなど、検索した情報をリアルに現場に活かせるナレッジマネジメントツールです。

また、AIによりファイル内のテキストや画像を検索でき、情報を探す時間が大幅に削減されるほか、資料要約機能によって目的と合致した資料かどうかを直感的に判断することも可能です。sagurootの詳細は以下の資料よりご覧ください。

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