業務の属人化を解消する方法とは?おすすめのツールをご紹介
- 生産性向上
その人がいないと業務が進まないという状態は、企業にとってリスクです。どんなに優秀な社員でも、いつかは必ず職場を離れるときがきます。その際に困らないように業務の属人化が見受けられる場合は、早めに改善していきましょう。今回は、業務の属人化が起きる原因と影響、属人化を解消するための具体的な方法についてお伝えします。属人化を感じている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
属人化とは
属人化とは特定の人物によって行われる業務や業務の進め方が当人しかわからない状態になっていることを指します。
属人化されてしまった業務はブラックボックス化されており、当人以外の人間では業務に必要な知識、経験、スキルが分からないので、退職や休職などでその人物がいなければ業務を遂行することができないというマイナスな影響を与えます。
属人化は業務が停滞するなどのマイナスな影響がある一方で、「この業務はあの人しかできないよね」といったように高い信頼を得るという意味ではプラスに働く側面もあります。
属人化を解消することも大事ですが、完全に否定するのではなく、適度に調整することも重要となります。
属人化が生じる原因
属人化とは、その社員が担当している業務の内容や進め方が、ほかの社員にはわからなくなってしまう状態を指します。属人化はなぜ起きてしまうのでしょうか。4つの原因を考えてみました。
業務の手順や進め方が明確に定義されていない
それを読めば誰もが業務に対応できるようなマニュアルがあれば、属人化は起きにくいでしょう。マニュアルがあっても活用されていなかったり、内容が古くてあまり参考にならなかったりという場合も、マニュアルがないのと同じことです。マニュアルがなければ口頭で業務を引き継ぐことになるので、結局引き継いだ人だけが内容を知っている状態となり、属人化は改善されません。
スキルや経験値に偏りがある
業務の専門性が高い場合も属人化が生じやすいです。高度な知見や経験、特殊なスキルが必要な領域の業務は、個人の能力によるところも多く、そもそも誰もができるという仕事ではなくなります。その専門領域を、ある程度時間をかけてチームで学んでいけるような仕組みが整っていればいいのですが、何もせずに日々の業務にあたっているだけでは、属人化が起きるのも当然の状況となります。
業務が忙しく共有する暇がない
属人化の原因として非常に多い要因です。社員それぞれが多忙なため、目の前の業務をこなすだけで瞬く間に1日が終わってしまいます。組織としても情報のシェアよりも、優先してほしい業務があると考えるでしょう。企業活動を持続していくことを考えると、社員が退職する度にまたゼロから始めなければならないことは、長い目で見ると非効率的です。
特定の人に権限や責任ある業務が集中している
いざ、ノウハウの共有ができるような業務マニュアルを作ろうとなったとしても、誰もが簡単に作成できるわけではありません。有益なノウハウを整理できる社員こそ、常に多方面から引っ張りだこで、責任ある業務に追われているというケースも見られます。権限や責任ある仕事が集中している人は、ノウハウ共有のための時間を捻出することすら困難なのです。
属人化による具体的な影響
業務の属人化が引き起こすデメリットを4つ取り上げてみました。
業務の継続性が損なわれる
終身雇用が過去のスタイルとなった現在では、深く業務を知っている社員が転職してしまった場合、代わりに担当できる人がいない事態になります。休職や退職の引き継ぎはバタバタしがちですし、その人が抜けたことで業務効率が低下し、最悪は顧客との関係性の悪化や、契約解消といった事態に転じる可能性すらも否めません。継続性という観点からも、人に依存しない業務推進は極めて重要です。
ミスの発生リスクが高まる
属人化が進むとミスが発見されにくいというリスクが発生します。詳細を知るのが担当者だけになるため、業務や成果物に品質の低下や重大なエラーがあっても指摘できる人がいないためです。ミスが起きたことに担当者が気づいても、評価を気にして故意に隠してしまったという例もあります。ミスが発見しにくい、ミスを隠しやすいという状況は、深刻な被害を産む可能性もあります。
新たな視点や気づきが得にくく、アイディアや改善案が生まれにくい
マニュアルなどで社員に平等に情報が行き渡っていれば、既に誰かが解決した問題に取り組む必要がなくなり、時間に余裕が生まれます。その時間を使って新しいことに取り組むこともできるでしょう。また、他の部署の視点や解釈に触れることで、自分の業務をブラッシュアップするヒントが見つかるかもしれません。属人化が常態化している=個人プレーなので、業務に広がりは出にくいです。
教育コストがかかる
属人化されている仕事では、先輩社員に尋ねる以外に学ぶ術がありません。教える時間と、教えてもらう時間と、教育には相当の人的コストがかかります。また口頭で伝えられる内容は反復学習しにくいため、疑問や不明が出るたびに先輩社員の手を止めなければなりません。必要な情報が動画や画像、テキストといった形式で編集されていれば、新入社員にとって学習しやすい環境が整います。
属人化を解消するための具体的な方法
属人化を感じている場合、何らかの対策を打ちましょう。ここでは主な4点をご紹介します。
マニュアル化
属人化を解消するには、業務のマニュアル化をまず行いましょう。マニュアルによって基本の手順やルールが定まるので、属人的なオリジナルルールが発生しにくくなります。また改善点や変更点があればアップデートするなど、定期的に内容を見直しすることも属人化の予防になります。専門性が高い業務はマニュアル化するのは難しいかもしれませんが、だからこそ共通の資料ができるとメンバー全員の専門性が上がり、業績につながります。
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、定期的に部署を異動したり、職務を変更したりする制度のこと。半年または数年といったスパンで担当者が入れ替われば、業務がブラックスボックス化するリスクは軽減します。さまざまな経験を積むことで、企業の全体像を把握できるようにもなるでしょう。属人化の恐ろしい点は、そもそも属人化していることに気付けないところです。人材の流れがあれば、課題が可視化されやすくなります。
社員のスキルアップ
個々の社員がスキルアップしていくことは、企業活動の大前提です。属人化では、その社員だけが業務を担当する形になるため、自分なりの方法論や工夫が確立されていきます。結果的にますます専門性が高まり「この仕事は〇〇さん」という状態が生まれます。〇〇さんしかできない仕事を、ぜひ自分もできるように努力しましょう。一人ひとりが士気を高めることも属人化の解消には有効です。
ITツールの導入
ITツールの導入を検討してみましょう。近年はリモートワークの普及などにより、多彩なツールが開発されています。各ツールともに情報を蓄積し検索できる機能を備えていますが、マニュアルを作成しかつ共有できるツールであれば、業務の知見やノウハウもシェア同時にできるので、属人化の解消になります。ITツールとうまく使いこなすと社内の連携が取りやすくなり、コミュニケーションの活性化も期待できます。
属人化解消におすすめのITツール
最後に、属人化解消に役立つとされている3つのツールを取り上げます。
ナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールとは、社員が持つ知識や経験を社内に共有することを目的としたツールです。専用ツールを採用することで、より効率的なナレッジマネジメントを行なえるでしょう。知識やノウハウをオープンにして属人化を解消することから、社員全体のスキル向上、生産性アップを目指します。部署を超えてスムーズにやり取りするためのコミュニケーションもサポートします。
【関連コラム】
>ナレッジマネジメントとは│「情報共有」がゴールではない?
>社内にナレッジを構築する方法│蓄積されたナレッジが活用できない理由とは?
社内wiki
知識やノウハウを集約して、社内に共有するためのツールです。Wikipedia(ウィキペディア)のように社内の誰でもが記事ページを作成、編集、閲覧することができる、いわば社員みんなで作る自社の手引きです。業務マニュアルから、社内規定、接待で使えるお店リストなど、必要な情報は何でも書くことができます。最近は気軽に使える社内wikiツールが多く開発され、活用する企業が増えています。
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールとは、業務の手順書やOJT動画などを効率よく作成できるツールです。WordやPowerPointといったソフトで業務マニュアルを作成している企業もありますが、マニュアル作成ツールを導入すれば、手順がとてもラクになったり、高度な編集ができたりといったメリットがあります。どのようなマニュアルを作成したいか、どのような利用方法を考えているのかによって自社に適したツールを選びましょう。
まとめ
属人化が解消されると、社員がハッピーになります。一人ひとりが静かに業務を抱え込んでしまうような状態から、いつもみんなで協力しあおうというスタイルに移行できれば、業務が進めやすくなるのはもちろん、社内の風通しやムードもよくなるからです。社員というのは、会社という一隻の船に乗って目的地に向かっている仲間です。情報を隠し合っても何もいいことはありません。業務が高度だから?多忙で時間がないから?まずは、自社の中で属人化が起きている原因を突き止めてみてください。
sagurootは、属人化解消にも役立つナレッジマネジメントツール。属人化しがちな高度な業務についてナレッジを共有するだけでなく、その業務を熟知している人材も紐づけることで、社員のスキルアップを効果的にサポートし、企業の成長に貢献します。